お彼岸のお供えとは? 菓子や花など定番のお供え物や金額の相場も紹介
春と秋に行われる定番の行事であるお彼岸では、お供え物を持参するのが一般的ですが、何を用意するべきか悩んでしまう人もいるでしょう。
今回は、お彼岸のお供えについてくわしく解説します。また、お彼岸を迎えるにあたって知っておくべきマナーも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
お彼岸とは?
お彼岸には「春彼岸」と「秋彼岸」の2種類があり、それぞれの期間は春分の日・秋分の日とその前後3日間を合計した7日間となっています。
日本に古来より伝わるならわしのひとつで、先祖や故人を敬い偲ぶ期間として大切にされています。
お彼岸には何をお供えするべき?
お彼岸は、先祖や故人を敬い、古くから日本の民衆に根付いてきた伝統行事です。仏壇を掃除してお供え物を準備するのが風習ですが、何をお供えすべきかよくわからないという人もいるでしょう。
ここからは、お彼岸にお供えすべきものについて解説していきます。
迷ってしまう人も多いお彼岸のお供え物ですが、必ず選ばないといけない品物があるわけではありません。
基本的には自分が適切だと思う品を持参すればいいので、地域の風習や訪問先の家族構成・生活スタイルなどを考慮しながら選ぶといいでしょう。
ただし、一般的によく持参されるお供え物や選ばれる傾向が高いものなどはある程度決まっているため、事前に把握しておくことをおすすめします。
お彼岸で定番のお供え物
必ず持参すべき品物があるわけではないお彼岸のお供え物ですが、定番の品物や一般的にお彼岸にふさわしいと考えられる手土産はある程度決まっています。
ここでは、お彼岸で定番のお供え物を紹介しますので、内容やそれぞれの品物を選ぶ理由などもあわせて理解しておきましょう。
お彼岸で定番のお供え物として広く知られているのがぼた餅とおはぎです。
どちらももち米とあんこがメインとなる和菓子ですが、それぞれの名前の由来は、小豆を牡丹の花に見立てたことから「ぼた餅」、小豆と萩の花の形がよく似ていることから「おはぎ」と呼ぶようになったとされています。
作る季節によって名称が異なっており、春のお彼岸は「ぼた餅」、秋のお彼岸は「おはぎ」、夏の別名は「夜舟」、冬は「北窓」です。
現在では季節で区別せずに呼ぶことも多いぼた餅やおはぎですが、もち米をどのくらいつぶすのか、こしあんか粒あんかなど、地域によって作り方や呼び方も変わるようです。
家族構成に関わらず受け入れられやすいお菓子やデザートなどは、お彼岸のお供え物として広く用いられています。
饅頭や羊羹などの和菓子や、おかき・ゼリーなどが定番の品物として人気ですが、若い人や小さな子どもが多い場合は洋菓子が持参されることもあります。
お供えしている間に状態が悪くならないようにするためにも、常温で保存できるものや日持ちするものを選ぶようにするといいでしょう。
果物も人気のお供え物のひとつであり、スーパーやデパートなどで、かご盛や箱詰めのものが売られているのを見たことがある人もいるでしょう。
常温で長持ちするリンゴやメロンなどが定番ですが、故人が好きだったものや季節の果物をお供え物として選ぶのもおすすめです。
なお、お供え物は偶数は縁起が悪く奇数で用意したほうがいいという説もありますので、注意するようにしましょう。
「お彼岸のお供え物」と聞いたときにお花を思い浮かべる人は多いでしょう。お彼岸では特に決まった花を供えなければいけないというルールはありませんので、故人が好きだった花や季節感を意識した花を持参すれば問題ありません。
お彼岸では年間をとおして入手しやすい菊や、春と秋のそれぞれの季節に開花する仏花を選ぶのもよいでしょう。春ならフリージアやストック、スイートピー、秋であればトルコキキョウやカーネーションがおすすめです。
ただし、あまり日持ちしないものや、トゲ・毒のある花は原則として避けるようにしましょう。
お彼岸のお供え物は、品物だけではなく現金にすることも可能です。地域の習慣がわからないときや忙しくて品物が用意できなかったときなどは、現金をお供え物にするのもいい選択でしょう。また、現金と一緒にお供えする品物の両方を用意するケースもあります。
お供えとして高額を包むと、渡す相手に負担をかけてしまうこともあります。お供えする品物の相場は3,000円~5,000円が多いようですので、現金を包む場合も同程度の金額で問題ないでしょう。
お彼岸のために覚えておきたいマナーとは?
古くから日本に伝わる伝統行事として、大切にされてきたお彼岸。お彼岸時期を安心して過ごすためにも、最低限のマナーは心得ておきたいものです。
ここからは、お彼岸の際に役立つマナーを紹介します。
慶事での贈り物にはつけることが多い「のし(熨斗)紙」。お彼岸のお供え物にもつけるべきか悩んでしまう人もいるかもしれませんが、慶事に用いられる「のし(熨斗)」が入ったかけ紙や祝儀袋は、お彼岸などの仏事にはふさわしくありません。
お彼岸においては「のし(熨斗)」が印刷されていない白黒もしくは銀色の水引が入ったかけ紙を使うのが一般的なマナーとされています。
ただし、水引の色には地域ごとに違いがあったり、一周忌などの節目では異なる色を使ったりする場合もあるため、持参する地方のルールなどを事前に確認しておくといいでしょう。
お供え物を準備する人の中には、忙しくてどうしてもお墓参りに行くことができずお供えする品物を郵送したい、と考える人もいるでしょう。
お彼岸では、ご先祖様や故人を偲ぶ気持ちが大切であるとされているため、郵送自体がマナー違反になることはありません。
ただし、訪問先の相手がお墓参りに行ったり仏壇を掃除したりするタイミングに品物の到着を合わせられるよう、彼岸入りから中日ぐらいまでの間に届くよう手配しておくことをおすすめします。
また、受取人の負担にならないよう、かさばるものや日持ちしないものは避けるようにしましょう。
お彼岸でお坊さんに読経してもらう場合は、寺院への謝礼金として「お布施」を用意する必要があります。
2020年に全日本仏教会が実施した調査によると、例年お彼岸でお経をあげてもらう方がお布施として支払った平均金額は以下のとおりです。
菩提寺がある場合 | 15,944円 |
菩提寺がない場合 | 16,766 円 |
菩提寺とは、先祖代々のお墓があるお寺のことをいいます。菩提寺の有無に関係なく、お布施は約1.6万円が相場のようです。寺院との関係性や地域によっても金額が異なりますので、お布施を用意するときは事前に家族や親せきに確認しておくとよいでしょう。
お布施を渡すときはそのまま渡すのではなく、お盆に乗せて渡す、もしくは袱紗(ふくさ)に包んで渡すのがマナーとされていますので、覚えておきましょう。
お彼岸の定番のお供え物やマナーを理解しておこう
お彼岸は日本に古来より伝わる伝統行事のひとつで、故人や祖先を敬い偲ぶ期間とされています。
お彼岸ではお供え物を持参するのが一般的ですが、必ず選ばなければいけない品物があるわけではないため、自分が適切だと思う品を持参しても問題ありません。ただし、よく選ばれているお供え物や持参される傾向が高いものなどはある程度決まっていますので、把握しておくといいでしょう。
お彼岸で定番のお供え物や覚えておきたいマナーなどを理解しておき、お彼岸の期間を安心して迎えられるようにしましょう。