スマートスイッチとは何か? セキュリティ対策や運用管理は万全?
「ハブ」から「スイッチ」へ――。
中小規模の環境で、企業ITの足回りを支えるネットワーク機器の置き換えが進んでいる。
もちろん、この言い方は正しくない。きちんと言い換えるとすれば、「『単純な』スイッチから『賢い(=スマート)』スイッチへ」、という表現が正確だ。
ネットワークを構成するのに欠かせない「ハブ」は、ネットワークケーブルが接続されたすべてのポートにデータを流す単純な「ハブ(リピーターハブ)」から、ポートごとに接続された端末を学習し、あて先の端末が接続されたポートにのみデータを流す「スイッチ」へと進化してきた。
しかし、しくみが違っても、このハブとスイッチの役割は、そう大きく変わってこなかった。ハブもスイッチも、複数の端末に接続されたネットワークケーブルを束ね、端末同士が通信可能なLANを構築するためのものであることは同じだ。
ただ、社内のいろいろな部門でネットワーク上のサーバーやNASを利用したり、IP電話などの端末もLANに接続されるようになったりと、ネットワークの構成や使い方が複雑化するにつれ、単純にネットワークケーブルを束ねるだけの役割では、企業のニーズに応えることが難しくなってきている。
「機密情報を含む経営層向けのサーバーや開発部門のサーバーを一般社員・ユーザーのネットワークから切り離したい」、「障害に備えてネットワーク機器の状態を把握したい」、「IP電話の音声が途切れないように通信を安定させたい」といったニーズがあっても、単純なスイッチでは対応できないケースが多かった。
そこで登場したのが、「インテリジェントスイッチ」と呼ばれる製品だ。ひとつのスイッチに物理的に接続された複数の端末をポート単位などに論理的に分割する「VLAN(Virtual LAN)」、管理端末などにインストールしたソフトウェアから各ポートの接続状況を監視できる「SNMP(Simple Network Management Protocol)」、音声や映像などのデータを優先的に処理させることで遅延を押さえる「QoS(Quality of Service)」などの機能を搭載したスイッチだ。
しかし、これまでの「インテリジェントスイッチ」は、十数万円~数十万円と高額なうえ、設定もコマンドベース(CLI:Command Line Interface)なのが一般的で、大企業向けの製品となっていた。
これに対して、最近、注目を集めているのが「スマートスイッチ」だ。数万円という中小企業でも手軽に購入できる価格を実現しながら、初めてでも手軽に設定できるGUI設定画面を搭載しており、前述したインテリジェントスイッチの機能をより身近に活用できる製品として注目を集めている。
インテリジェントスイッチ | スマートスイッチ | ノンインテリジェント | |
設定 | CLI | Web | 非搭載 |
TELNET | |||
Web | |||
管理機能 | SNMP(v1/v2c) | 非搭載 | |
RMON | |||
ポートミラーリング | |||
QoS | |||
VLAN機能 | ポートLAN | 非搭載 | |
タグLAN |
そんなスマートスイッチ市場を切り開いていく存在になりそうなのが、バッファローから新たに登場した「BS-GSシリーズ」だ。16ポートの「BS-GS2016」でも2万4800円(税別)と非常にリーズナブルな価格を実現したスマートスイッチとなっており、中小企業の中核を担うスイッチとしてはもちろんのこと、大企業の末端に設置されていた単純なスイッチを置き換えることで、オールスマートスイッチを実現する製品として注目されている。
バッファローのスマートスイッチ「BS-GSシリーズ」(写真は16ポートモデルのBS-GS2016)GUI設定画面を備え、VLANやSNMP、QoSなどの機能を利用できる