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Jun

パナソニック、最新のディープラーニングとロボット技術を搭載した、新型「ロボット掃除機」を発表

本間社長は講演の中で、家電製品は今後「知能化が必要」だと語った。

「世の中やそこで営まれる暮らしは、日を追うごと、年を重ねるごとにさまざまな変化があり、それに伴って必要なものもサービスも変化します。重要なのは暮らしに寄り添い続け、お客様を知ることです。家電は暮らしに寄り添ってきましたが、これからの家電はお客様のライフスタイルを知る『知能化』が必要になります」(本間社長)

ロボティクス技術やAI(人工知能)技術を用いた「知能化」が今後の家電に重要だと本間社長は語った

パナソニックと共同で開発した千葉工業大学 常任理事 未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長で工学博士の古田 貴之氏は、家電の知能化について次のように話す。

「知能化するにあたって、知能化白物家電の開発プロセスを革新しようと、本間社長と話し合いました。ロボットの世界ではソフトとハードを同時並行でアジャイル的に開発するのが当たり前です。今回のコンセプトモデルの開発はわずか3カ月ですが、ロボット技術やAI、自動操縦といった技術を超短期間で開発するのはとてもパワフルでした。

しかし従来の作り方や技術だけで知能化するのではあまりにもつまらなさすぎるというか、むしろ美しくありません。皆さんのお手元に届いてワクワクするような体験と、人に寄り添うような家電、そして超最新鋭のできたばかりの技術を皆さんにお届けしてこその『知能化』ではないかと思います」(古田氏)

千葉工業大学 常任理事 未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長で工学博士の古田 貴之氏ロボット開発プロセスを応用することで、約3カ月という短期間でのコンセプトモデル開発を実現した

このコンセプトモデルは、ディープラーニングで進化させた世界初の「AI床センサー」によって床上の物体を認識し、段差に応じて自動的に本体を持ち上げて走行するという機能を搭載する。

パナソニック、最新のディープラーニングとロボット技術を搭載した、新型「ロボット掃除機」を発表

「センサー自体は非常にシンプルなレーザーセンサーで、これに最先端のディープラーニングシステムを、まさに3カ月の中で研究開発して投入しました。これによって床の上のあらゆるものを認識するだけでなく、動く人も認識します。これによって『otomo機能』(人を認識してついて回る機能)ができたり、部屋の地図を作成できたり、床面上のものも認識します。そんな賢いロボット掃除機に進化しました」(古田氏)

レーザーセンサーを用いた「AI床センサ」を搭載している

AI床センサーに用いているレーザーセンサーは単体で使うと距離しか測れないが、ディープラーニングと組み合わせることで、複雑な立体情報に変換して使えるようにしたという。

「簡単に言うと本当にシンプルなセンサーを使い、頭の良さで解決するというものです。高価なセンサーは故障率が高いですし、扱いも難しいなど諸刃の剣です。理想はシンプルな素材を使って美味しくするということで、料理にも似ています」(古田氏)

従来モデルのRULOシリーズ(RULO MC-RS-800)では、部屋のマッピングや自己位置推定にカメラセンサーを用いた「ビジュアルSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)」を用いていたが、今回のコンセプトモデルではレーザーセンサーを用いたfuRo独自の高速空間認識技術「ScanSLAM」を活用している。

レーザーセンサーによって空間を認識し、自己位置を推定するfuRo独自の高速空間認識技術「ScanSLAM」を活用している

「超最新鋭の自動操縦技術を惜しみなくこの小さなボディーへ入れました。今年、ロボット学会の学術講演会で論文賞を取ったばかりのできたてほやほやの技術です。レーザーSLAMというのは、本来はもっと大規模なCPUでないと動かないのですが、我々が開発したScanSLAMは省メモリかつ高速で、大変堅牢性が高いということで論文賞をいただきました。我々のSLAMだからこそ既存のRULOに入ったのです。またRULOのCPUシステムは非常に成熟していて、クオリティーコントロールもしっかりしているので、ガッチリと入りました」(古田氏)

自動操縦技術と組み合わせることで、タブレット端末で掃除スポットを遠隔で指示したり、人と協調して掃除することも可能になる。また、周囲環境と自分の位置を常に正確に把握できるため、確実に充電台に戻ることができることに加え、ロボット技術によって充電台にドッキングした本体を電動で縦置き状態に吊り上げる機能も実現した。

古田氏は「僕は家電マニアで、ロボット掃除機マニアで、ロボット掃除機を作るのが夢だったんですよ」と語る。

「ロボット掃除機を作るのが夢だったんですよ」と語る古田氏

そんなマニアな古田氏が自宅で使っていて必要だと感じた機能の一つが縦置き機能だったという。

「うちの妻はロボット掃除機が邪魔だと言って立てかけるんですよ。そうすると充電できませんから、電力が足りなくなってしまいます。また実際に使うとラグも苦手で、"ロボット掃除機殺し"です。そういった問題意識から生まれました」(古田氏)

講演会場でデモも行われた。タブレットから掃除をスタートすると、縦置きの状態から自動的に発進するScanSLAMによって自動的に地図を生成する間取りを認識しながら自動的に掃除を進めていくホームボタンを押すと、素早く充電台まで戻っていく子供用のプレイマットや毛足の長いラグを見つけると、車輪を持ち上げて難なく乗り上げた端に房の付いたラグや、畳も認識して乗り越えていった