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「チャック開いてますよ警報機」や「キレるルンバ」を発明 「無駄なもの発明家」藤原麻里菜の魅力

季節の変わり目、引っ越し、家を片付けたい。人生で断捨離を検討するタイミングは多いだろう。近年、最小限の物で暮らす志向が広がり、本当に必要なものは何なのか吟味する機会も増えたのではないか。そんな昨今の風潮に逆行している発明家がいる。藤原麻里菜、28歳。無駄なもの発明家だ。【動画】「チャックが開いてますよ」と教えてくれる警報器 彼女の無駄づくりは年々評価を高めている。2016年、Google主催「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展――無中生有的沒有用部屋in台北」を開催し、2万5000人以上の来場者を記録。2019年度総務省「異能(Inno)vation」最終選考通過者でもある。2021年には『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』も出版。9月14日にはテレビ番組『セブンルール』(関西テレビ系)にて特集された。 コンテンツ発信の中心はYouTube。登録者数は9.66万人。総再生回数は900万回に迫る。『セブンルール』によると、彼女は「2日に1個発明品を作る」がモットー。うまくいかない時は、一旦諦めるという。YouTubeには『セブンルール』で紹介された「笑顔を取り除くことができる自撮り棒」「チャック開いてますよ警報機」「キレるルンバ」など独自の観点から生まれた発明品をアップ。 中でも興味深いのは『アレクサと気まずいから黒電話に改造した』という動画。「スマートスピーカーに話しかけるのが恥ずかしい」と感じたことからスマートスピーカーの中身を黒電話に装着。受話器を通じて「アレクサ、~して」と呼びかけるマシーンとなった。返事はしてくれるものの、機械に話しかけることに恥じらいを感じる人は彼女以外にもいるだろう。番組内で彼女は、日常のモヤモヤを言葉にすることで、どうしたら楽しくできるのか考えていると話し、モヤモヤに気づいた瞬間にアドレナリンが出て、面白いアイディアを考える余裕に繋がっていると語っていた。2日に1個発明品を作れるのは、一度ひらめいたら途切れないアドレナリンがあってこそ可能なことだろう。 彼女の動画は、発明品の実演、もしくは作成過程と実演どちらも撮影した2パターンが多い。動画の長さは実演のみだと1分ほど。作成過程も含まれていても5分の動画が大半だ。例えば、『日常で使えるVRゴーグルを作ろう』では、「VRゴーグルをつけていると100%、VRでバーチャル空間にいってるんだなと周りの人に思われてしまうのが恥ずかしくありませんか?」と語りかけるところからスタート。『【ご報告】彼氏を作りました』では、「彼氏が欲しいから作ろう」という発想から「今日は彼を組み立てていこうと思います。」とシュールな一言で彼氏を作成していく。実際に完成した発明品を見るのも楽しいが、前段階である発想の原点が垣間見えると、より発明品の面白さが増す。 『セブンルール』にて、「自分にはずっと才能がないと思っていて、唯一あった才能が無駄なものを考えて作ることだった」と語っていた。これだけ独創的な発想をする彼女でも、以前はコンプレックスや劣等感を感じ、何をしてもうまくいかず、生きづらかったという。番組内で最も印象的だったのは「無駄づくりを始めて世界は自分のためにあるんじゃないかというくらい、人生がいい形になってきている」という言葉。世の中には以前の彼女と同じように「自分には才能がない」と悲観する人も多いと思う。日常のモヤモヤから新たな発明品を作る彼女の姿は、自分に悲観する人たちのヒントになるのではないだろうか。ありふれた日常だと流しているこの瞬間が何かのきっかけになるかもしれない。藤原麻里菜の日常から生まれる「無駄なもの」をこれからも追い続けていきたい。

佐藤さくら

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