いま求められるのは「通信速度と信頼性」──CAT6eケーブル導入のすすめ
いまLANケーブル購入するのであれば、まず注意したいのは「どのカテゴリに属しているか」である。
現在販売さているLANケーブルは100Mbps対応の「カテゴリ5」、1000Mbps対応(1000BASE-T)の「エンハンスドカテゴリ5」、同じく1000Mbps対応ながらより信頼性が高く、1000BASE-TXにも対応する「カテゴリ6」で、略称としてそれぞれ「CAT5」「CAT5e」「CAT6」などと呼ばれている。
今店頭で販売されている製品で主流なのは「CAT5e」で、ケーブル部が細身のタイプ、フラットなタイプなどバリエーションも豊富に揃っている。オフィスでも家庭でも依然有線LANの多くは100Mbpsであり、より高速なギガビットLANを導入しているユーザーであっても「CAT5e」でいいや、と思う人は多いだろうし、あながち間違いではないとも思う。
しかしよく考えると、LANケーブルは比較的永く利用される製品の1つで、それでいていざトラブルが起きると、原因追及も困難である傾向で、床下などに設置している場合はさらに面倒なことになりかねないものである。実際「LANが利用できない=インターネットに接続できない」から、オフィスなら仕事にならないし、家庭内での使用でも当然困ってしまうだろう。となれば、実は熟考して購入すべき製品だともいえるのではないだろうか。
今買える、あるいは買おうとしているのであれば、もっともお勧めできうるといえるものが「エンハンスドカテゴリ6」(CAT6e)に対応したLANケーブルだ。
今回ピックアップしたのは、店頭で購入できる「CAT6e」対応LANケーブルとして販売されている数少ない製品の1つであるサンワサプライ「KB-T6E」シリーズ。単にスペックとしてCAT6eに対応するだけでなく、高い信頼性を得るための工夫も詰まった製品だ。
CAT6e対応のサンワサプライ「KB-T6E」シリーズ信頼性は見えない部分に
KB-T6Eシリーズは、3色のカラーリングと0.5から10メートルまで7種類の長さのバリエーションを持つ。
CAT5対応LANケーブルは約100MHz、CAT6対応LANケーブルは約250MHz(編集部注:「CAT5e対応ケーブルは約250MHz〜」とありましたが、正しくは上記の通りでした。お詫びして訂正いたします。)の伝送帯域を持つのに対し、CAT6eは現在標準化作業が進む10GBASE-Tにも対応が可能な500MHzを超える伝送帯域を持つ。オフィスや家庭でも導入が進みつつある最大1Gbpsの1000BASE-Tには余裕で対応する事はもちろん、次世代の10Gbps LANにも対応できうる性能を持つ。
KB-T6Eが特徴的なのはその外観ではなく中身だ。本製品に限らず、同社製品ではCAT6対応LANケーブルでも単線の8芯構成になっており、一般的な7線の8芯構成よりも効率よく信号の伝達が可能になっている構造となっている。
内部は単線の8芯構成となっている電気信号は周波数が高いほど銅線の外側しか電気が流れなくなる特性を持っており、細い銅線を束ねるよりも太い単線の銅線を使ったほうが断面積も大きく確保でき、より信号が通りやすくなる。
LANケーブルでは一般に、8芯のケーブルをペアで“より対線”にし、ペア単位で4本の信号線として使用している。2本の信号線を用いて1つの信号を差動伝送することで外部からの耐ノイズ性を高めることができるからだ。ちなみに100BASE-TXや1000BASE-Tの「T」はツイストペア(=より対線)の頭文字を取ったもの。ちなみに10BASE-T/100BASE-TXでは4芯を2本の信号線としてのみ利用している。
LANケーブルがより対線になっているのにはもう1つ理由がある。高周波を利用したデータ伝送では信号線自身が不要な電磁波を放出し、隣り合った信号線に対するノイズ源になってしまう。
線を“よる”ことで、信号線が180度ひねられるたびに電磁波の磁界の向きが反転し、近い位置の電磁波同士が相殺される。ただしこのよる間隔が広いと、この相殺効果は小さくなってしまう。つまり“
より”がしっかりなされていることは、耐ノイズ性が高いということになる。KB-T6Eシリーズでは、信号線がよりしっかりとぎっちり寄られていることで耐ノイズ性が高められている。
なおコネクタ部ではその構造上、最終的にはよりを戻す必要があるわけで、ここもノイズが混入する原因になりやすい。
KB-T6Eシリーズ(左)と一般的なCAT5ケーブル(右)のコネクタ部の違い。コネクタの透明な部分から見える線の“より”が戻される長さが明らかに違うごく普通の製品はコネクタ部分で平行に結線されているのに対し、同シリーズではその先端部分──結線部分を千鳥配列にすることでよりの戻し距離をなるべく短くさせ、さらにその電磁波干渉もなるべく少なくなるよう信号線同士の間隔をより広く確保したままコネクタ部で結線される構造となっている。この構造のプラグは、同社「CAT5」「CAT6」対応LANケーブルでも採用され、耐ノイズ性が高められている。
同じくコネクタの先端部分。KB-T6Eシリーズ(左)は線の並びが一直線ではなく、左から3番めと6番めがちょっと上にある。見た目ではちょっとした違いだが、ノイズ混入を防ぐ効果がある。