発煙・発火事故も! 「モバイルバッテリー」の保管や処分、何に気を付けるべき?
モバイルバッテリー、使わないときは?
外出時のスマホの充電に重宝するのが「モバイルバッテリー」ですが、近年、大容量バッテリーを搭載するスマホが増えたことで、以前ほど使わなくなった人も多いのではないでしょうか。そうした人の中には「まだそれほど使っていないから、捨てるのはもったいない」「災害時に役立つかも」と考えて、自宅で保管するケースもあるようです。しかし、モバイルバッテリーについては、使用時に発煙や発火といった事故が発生しており、取り扱いには注意が必要です。【動画】ごみ収集車から炎! 破裂! モバイルバッテリーの誤った処分方法 使わなくなったモバイルバッテリーを長期間保管するときや処分するときは、どのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。モバイルバッテリーのメーカーと独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センターに聞きました。
保管時は最低40~50%の残量を
まずは、モバイルバッテリーなどのデジタル製品の開発や製造、販売を手掛ける、アンカー・ジャパン(東京都千代田区)の広報担当者に聞きました。Q.モバイルバッテリーの耐用年数について教えてください。また、「バッテリーが膨らんできた」「以前ほど、スマホを充電できなくなった」といった場合はすぐに使用をやめ、処分した方がよいのでしょうか。担当者「当社製品に基づいて話します。使用環境や条件にもよりますが、モバイルバッテリーに搭載されているリチウムイオン電池を内蔵する機器の使用目安は300~500回程度(100%まで充電した後、完全に電池切れになるまでを1回とした場合)といわれています。その回数を超えた場合は新しい製品への買い替えを推奨します。『バッテリーが膨らんできた』『以前ほど、スマホを充電できなくなった』という場合は、リチウムイオン電池の劣化が進んでいる証拠です。特にバッテリーの膨らみが確認できる場合はすぐに使用を中止し、適切に処分してください」Q.モバイルバッテリーを使用するときの注意点について、教えてください。担当者「一般的にリチウムイオン電池は熱に敏感なため、バッテリーの温度が45度以上になると劣化しやすくなります。劣化が進むと蓄えられる電力が低下するため、バッテリーの寿命にも影響が出ます。また、5度を下回る寒い環境下での使用、保管もバッテリーに好ましくない影響を及ぼします。一方、5度から45度の環境下では問題なく充電ができるので、バッテリーはこの温度下での使用や保管が望ましいです」Q.使用回数が300回に満たないモバイルバッテリーを長期間保管する場合、製品をどのように管理するのが望ましいのでしょうか。担当者「当社では、モバイルバッテリーを長期間保管する際は高温多湿な場所を避けるとともに3カ月に1回程度、充電を行い、最低でも40~50%程度のバッテリー残量を維持するよう、お願いしています。完全に放電した状態(残量が0%の状態)で長期間放置すると、逆にバッテリー自体に負荷がかかってしまい、肝心なときに充電ができなくなるリスクがあるためです。なお、使用していない状態のリチウムイオン電池は、1万ミリ・アンペア・アワーのモバイルバッテリーの場合、1カ月に約2%の割合でバッテリー残量が減少(自然放電)します」Q.防災用品として、乾電池だけでなく、モバイルバッテリーを購入する人もいるようです。未使用のモバイルバッテリーは長期間、保管しても問題ないのでしょうか。担当者「問題ありません。ただし、未使用の状態であっても、長期間保管する際は先述のように高温多湿を避け、また、3カ月に1度程度、充電を行い、最低でも40~50%程度のバッテリー残量を維持してください。災害時に備えるため、モバイルバッテリーよりもポート(端子)の種類が充実しており、大容量で高出力なポータブル電源を持っている人も多いと思いますが、ポータブル電源の使用や保管に関する注意点もモバイルバッテリーと同じです。事故やトラブルを防ぐためにも、モバイルバッテリーやポータブル電源を購入するときは信頼できるメーカーやブランドの製品を選ぶことをおすすめします」 続いて、モバイルバッテリーによる事故の危険性や処分するときの注意点について、NITE製品安全センターに聞きました。Q.日常生活でモバイルバッテリーを取り扱うときの注意点について、教えてください。担当者「高温環境下での使用や保管によって、バッテリーの劣化が早まります。また、使用中に衝撃が加わることなどによって、発煙、発火を伴う事故につながる可能性も考えられるので、持ち運びや保管の際は取り扱いに注意してください。モバイルバッテリーに内蔵のリチウムイオン電池は、満充電の状態や完全放電の状態で保管すると劣化が進む場合もあります。そこで、定期的な充電で80%程度の充電状態を保つことをおすすめします。製品によっては、取扱説明書に保管方法を記載しているケースもあるので確認してください」Q.モバイルバッテリーを一般ごみとして捨てた場合、どのような危険性があるのでしょうか。モバイルバッテリーの正しい処分方法について、教えてください。担当者「モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池を搭載した製品が一般のごみとして捨てられた場合、ごみ収集車でバッテリーが圧縮されることで発火や製品の破裂が生じ、収集車の焼損や清掃職員のけが、付近の住宅への延焼、焼却施設の火災の原因となります。絶対に、一般ごみとして廃棄しないでください。モバイルバッテリーやスマホなど、リチウムイオン電池が搭載されている製品を廃棄する際は分別方法など含め、自治体の指示に従って廃棄してください。なお、小型充電式電池のリサイクル活動を推進する一般社団法人JBRCでは、資源有効利用促進法に基づき、所属会員企業が製造、または販売したリチウムイオン電池を含む小型充電式電池を回収しています。回収対象となる小型充電式電池は電池の表面にリサイクルマークの表示があります。不要になった回収対象の小型充電式電池は家電量販店やホームセンターなどの協力店、または協力自治体にお持ちください。協力店・協力自治体はJBRCのホームページで確認できます」
オトナンサー編集部
最終更新:オトナンサー