検知範囲を7倍に、自動走行地図作成も可能なパナの業務用ロボット掃除機
RULO Pro MC-GRS2Mの外観[クリックして拡大] 出所:パナソニック
パナソニックは2022年2月22日、同年3月から同社が量産化予定の業務用ロボット掃除機「RULO Pro MC-GRS2M(以下、GRS2M)」の説明会を開催した。センサーレーダーの検知範囲を拡大した他、自動走行地図作成機能を持たせた。自動走行地図作成機能を搭載[クリックして拡大] 出所:パナソニック
壁際のほこりもしっかりかき出す
GRS2Mのサイズは590×650×730mmで、本体質量は電池を含めて26kg。集じんは紙パックで行い、容量は5リットル。質量の大きなごみ向けに1リットルのダストボックスも搭載できる。連続使用時間はフル充電状態で約150分。 今回発売するGRS2Mは業務用ロボット掃除機シリーズ「RULO Pro」から出る2つ目の製品だ。初号機である「RULO Pro MC-GRS1M(以下、MC-GRS1M)」は2018年に発売され、現在、オフィスビルや自治体施設などで活用されている。 MC-GRS1Mではパナソニックが家電分野で培ってきたノウハウをいくつか活用している。大きな特徴の1つが、壁際にたまったほこりをしっかり集じんできるようにした点だ。レーザーセンサーと赤外線センサー、超音波センサー、バンパーセンサーの4種類のセンサーによって機体が壁面との距離を検知し、位置を調整しながらサイドブラシで壁際のほこりをかき出す。ブレードタイプの回転ブラシを使うことで、長い髪の毛なども絡みつきにくくなっているという。 加えて、紙パックを採用することで、ごみ捨て時の省力化も図り、清潔性も向上させている。電池パックについては電動アシスト自動車開発時の知見を取り入れて、持ち運び用のハンドルを付けるなどの工夫を施した。
広いスペースでも使用可能に
MC-GRS2Mでは初号機からの大きな変更点が2つある。1つはLRF(レーザーレンジファインダー)の最大検知範囲を約7倍に拡大した点だ。これまで片側約3.5mだった検知範囲を同25mにまで拡大した。これによって、エントランスホールや大きな会議室など、広いスペースでも使用できる。 もう1つが、自動で地図作成を行う機能を持たせた点だ。MC-GRS1Mではあらかじめ作業者が走行範囲の地図を作成、登録する必要があったが、MC-GRS2Mではこの手間を省き、ロボット本体が走行範囲をスキャンして地図を自動生成する仕組みになった。専用のエリア指定シートを置くことで、「進入禁止エリア」や「障害物回避エリア」を指定することも可能だ。 この他にも、掃除開始時間を指定するタイマー機能や、走行中に異常があった場合にアラートをリアルタイム通知する機能なども搭載している。ダストボックスや回転ブラシは抗菌仕様のため、衛生面での安心感もあるという。 パナソニックでは、清掃業界における人手不足などを背景に、業務用ロボット掃除機は2024年までに約150億円規模の市場に成長すると見込む。今後の技術開発について、同社 くらし事業本部 くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 クリーナー事業 クリーナー技術部 部長の渡部健二氏は、「特に自動走行地図作成機能については、レーザーを使うという仕様上、ガラスなどに適用しにくい面がある。現時点では人の手でサポートする必要があるが、今後はこうした面も自動化できるようにしていきたい」と語った。⇒その他の「ロボット開発ニュース」の記事はこちら
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