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これまでの光Ethernet規格振り返りと、「40GBASE-FR」をめぐる議論の経緯【ネット新技術】 - INTERNET Watch

到達距離2km、64B/66B Encodeを利用するPCS向きの「40GBASE-FR」

 ということで今回は「40GBASE-FR」について。この規格は2011年に「IEEE 802.3bg-2011」として標準化が行われた。IEEE 802.3にはClause 82/89として収められている。Clause 82は64B/66B Encodeを利用するPCS向きの仕様で、これを利用するのは「40GBASE-R」、「100GBASE-R」となっており、要するに「100GBASE-SR4」などと同じ仕様だ。

 異なるのは信号速度で、こちらはClause 89で定義されている。波長は1530~1565nmを利用し、送受信で1レーンずつを利用。信号速度は41.25GBdで、64B/66B Encodeを通すとデータ転送速度はちょうど40Gbpsとなる。

 到達距離は、FRということから分かるように、2m~2kmとなっている。当然SMFでの利用が前提だ。ちなみに中心波長は1550nmとなっている。検討初期段階では1310nmの利用も検討したようだが、これは早い段階で放棄されている。

出典:Serial 40Gb/s CFP Optical Transceiver Module SCF0420FR series(Sumitomo Electric Industries, Ltd. PDF)

これまでの光Ethernet規格振り返りと、「40GBASE-FR」をめぐる議論の経緯【ネット新技術】 - INTERNET Watch

 もともと40GBASE-FRの目的は、既に存在する40Gの規格を利用して、手早く低コストに40G Ethernetの規格を策定することだった。存在する40Gの規格とはOTU3/STM-256/OC-768/40G PCS(Packet over SONET)であり、この物理層をそのまま流用してEthernetにする、というものだ。厄介だったのは、そのOTU3/STM-256はITUのG.693及びG.959.1として仕様が定められていたのだが、G.693の中に以下2つの波長が挙げられており、どちらを利用するかで揉めたわけだ。

 ちなみに、この両者長所と短所をまとめると、以下のような話になっていた。

1310nmの長所:

1310nmの短所:

1550nmの長所:

1550nmの短所:

出典は住友電工デバイス・イノベーション株式会社のSerial 40Gb/s CFP Optical Transceiver Module SCF0420FR series

 こうしたこともあって、Task Force初回のミーティングには、1310nmを利用するというプロポーザルも出てきてきた。

 ただ、最終的には消費電力などの兼ね合いから1550nmが選択され、そのまま標準化に突き進んだ格好だ。Task Forceは2010年5月に最初のミーティングを行い、2011年3月に最後のミーティングを終了、2011年中に標準化を完了している。

 ほかの規格に比べると恐ろしく迅速に作業が進んだ感もあるが、広く使われたか?というとそうでもなかった。理由としては、規格として中途半端だったことが挙げられよう。

 1対の光ファイバーで40Gbps/2kmというのは、確かに当時ほかにないと言われればないのだが、短距離なら「40GBASE-SR4」、長距離なら「100GBASE-LR4」の標準化が既に終わっており、40Gでよければ「40GBASE-SR4/40GBASE-LR4」の製品が市場に出ており、今さらここで40GBASE-FRへ乗り換えるメリットはなかった。

 また、モジュールがQSFP+などではなく、CFPだということも、既にデメリットでしかなかった。今から思えば、先に「10GBASE-FR」という規格があり、このアップグレードを狙えればもう少し存在感を発揮できたのかもしれないが、そんなわけで40GBASE-FRはあまり使われないまま消えることになってしまった。

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