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一戸建ての生活費はどのくらいかかる? 4人家族の場合でシミュレーション

一戸建ての維持費は年間で40万円程度

一戸建ての維持費は、年間で40万円程度とされています。ここでは、維持費の具体的な内訳や計算方法について詳しく見ていきましょう。

固定資産税

固定資産税とは、所有している土地や建物などの固定資産に課せられる税金のことであり、毎年1月1日時点の評価額に基づいて計算されます。

具体的な計算式は「固定資産税評価額×1.4%(標準税率)」ですが、固定資産税は地方税なので、自治体によって1.5%や1.6%など税率に若干の違いがある場合もあります。

また、固定資産税は土地と建物それぞれについて計算し、どちらも居住用のものであれば軽減措置を受けることができます。

修繕費用の積み立て

一戸建ての場合は、マンションのように修繕積立金が設けられていないため、自分で修繕費用を積み立てていく必要があります。

修繕のタイミングは箇所によって異なるため、費用を一度に用意しようとするよりも、コツコツと計画的に貯蓄していくほうが無難です。

一戸建ての修繕費用の目安は、トータルで600万~800万円程度とされているので、たとえば35年所有するのであれば、「年間17万~23万円程度」の積立金額が目安になります。

保険料

マイホームを所有するときには、万が一に備えて火災保険や地震保険に加入するのが一般的です。

特に住宅ローンを借りるときには、原則として火災保険の加入が必須となるため、あらかじめ保険料も維持費に組み込んでおくほうが無難です。

火災保険の保険料は5年間で15万~20万円が目安となりますが、補償の範囲や特約の有無、支払い方法によっても異なります。最長期間である10年一括払いを選択すれば、トータルの負担額を抑えられます。

マンションとの違い

一戸建てとマンションでは維持費に対する考え方が大きく異なります。

マンションの場合は修繕積立金として、毎月計画的に維持費の積み立てが行われます。また、共用設備の維持・管理を行うための管理費も必要であり、合計で毎月3万円程度かかります。

ただ、修繕積立金はあくまでも「マンション全体や共用部分のための積み立て」であり、自室のリフォームや修理に使えるお金ではありません。

自室の修繕・改装を行ううえでは、別途で積み立てを行う必要があるのです。そのため、駐車場代なども考えると、都心では年間50万円程度を維持費の目安として考えておく必要があるでしょう。

4人家族の生活費は毎月いくらが目安?

続いて、一戸建てにおける生活費について、平均的な4人家族のケースを見ていきましょう。

平均的な4人家族の生活費

総務省の2020年の調査データ(※)によると、平均的な4人家族の1ヶ月当たりの生活費(住居費、維持費を除く)は以下のとおりです。

費用項目

金額

食費

8万7,071円

水道・光熱費

2万4,121円

家具・家事用品費

1万3,919円

被服費

1万2,095円

保健医療費

1万2,778円

交通・通信費

4万7,009円

教育費

2万6,091円

教養・娯楽費

2万8,900円

その他

4万8,100円

合計

30万84円

このデータはあくまで平均値であるものの、住居費や維持費を除いた生活費は、合計で毎月30万円程度が目安だといえます。

仮に年間の維持費が40万円だとすると、1月当たり約3.3万円となるため、「合計では33.3万円程度」になると考えられます。

住宅ローンの返済計画を立てるためには、この金額をベースに貯蓄額なども検討しながら、無理のない毎月返済額を設定することが大切です。

(※)総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2020年」

一戸建てを探す家計から住宅購入予算を試算する

年収ではなく収支のバランスが重要! 家計を見直すコツと貯蓄のポイント

毎月の維持費や住宅ローンの返済を考えると、生活費はできるだけ節約したいところです。ここでは、家計を見直すうえで目を向けておきたいポイントをいくつか紹介します。

見直しはコントロールしやすい食費や娯楽費から

生活費のなかでも、特にコントロールしやすいのは食費や娯楽費です。食費は生活費のなかでもっとも大きな割合を占める費用でもあるため、節約できれば大きな効果が期待できます。

上記の結果と比較すれば、月々7万円に抑えるだけでも年間20万円以上の節約につながるのです。また、娯楽費は月単位で考えるのではなく、年単位で計算するのがコツです。

年間でどのくらいのお金を自由に使えるのかを把握して、そこから逆算しながら使い方を決めましょう。

固定費を見直す

次に目を向けておきたいのは、毎月あるいは毎年一定額が発生する固定費についてです。たとえば、携帯電話やインターネットなどの通信費は、今よりも安いプランを検討すると、年間では大きな節約につながります。

子どもの成長に合わせて必要な教育費を割り出す

教育費が特にかかりやすいタイミングは、ある程度子どもの年齢に応じて予想することができます。進学や受験といったイベントから現在の年齢を逆算して、早い段階で貯蓄計画を立てておきましょう。

収入にゆとりがある場合は私的年金も検討してみる

収入にゆとりがある場合は、iDeCo(イデコ)などの私的年金を活用してみるのもひとつです。掛け金の全額が所得控除の対象になるため、貯蓄をしながら大きな節税効果が見込めます。

特に住宅ローンの返済期間が定年後にも続く場合は、老後の収入低下の備えとして検討しておくと安心です。しかし、iDeCoは、あくまで投資なので、元本割れのリスクはあります。詳しく調べてから検討してみてください。

〈年収別目安表〉住宅ローンはどのくらいの負担なら無理なく返せる?

ここまで、一戸建ての維持費と生活費について紹介してきました。では、これらの金額を踏まえて、住宅ローンは毎月どのくらいなら無理なく返済できるのでしょうか。

ここでは、年収別に無理のない返済額をシミュレーションしてみましょう。

無理のない返済計画を立てる指標

返済計画の安全性を確かめる指標としては、「返済負担率」に目を向けてみることが大切です。

返済負担率とは、「年収に対する年間返済額の割合」を示す数字であり、一般的には「25%以下」なら無理なく返済を続けていけるとされています。

そのため、毎月返済額を計算するときには、「年収の48分の1」に収まるように設定しておきましょう。

年収別借入額の目安表

返済負担率を25%に設定したとき、実際に借入額がどのくらいになるのかシミュレーションしてみましょう。

なお、今回は以下の条件下でシミュレーションを行いました。

条件

すると、結果は下の表のようになりました。

年収

毎月返済額

借入上限額

15年ローン

25年ローン

35年ローン

400万円

8.3万円

1,337万円

2,075万円

2,711万円

500万円

10.4万円

1,675万円

2,600万円

3,397万円

600万円

12.5万円

2,014万円

3,125万円

4,083万円

700万円

14.6万円

2,352万円

3,651万円

4,768万円

800万円

16.7万円

2,690万円

4,176万円

5,454万円

900万円

18.8万円

3,029万円

4,701万円

6,140万円

実際には金利や返済方法によっても結果が異なりますが、借入額の目安として参考にしてみてください。

一戸建てを探す家計から住宅購入予算を試算する

生活費の計算ツールを使ってみよう

持ち家を購入してからの生活費については、インターネット上のツールを使ってシミュレーションすることもできます。

LIFULL HOME’Sの「おうち予算シミュレーション」では、年齢や年収、家族構成などの項目を入力するだけで、簡単に住宅ローン返済額や生活費の理想値を調べることが可能です。

今回は、以下の条件を設定したうえで、実際に試算してみましょう。

条件

上記の条件で試算をしてみると、結果は以下のようになりました。

住宅購入の目安予算

3,100万円~3,900万円

住宅ローン毎月返済額

9万円

住宅関連費

5万円

生活費合計

23万円

内訳

食費・日用雑貨

7万5,000円

水道光熱費

1万5,000円

被服・理美容費

1万8,750円

医療費

1万1,250円

交通・自動車関係

1万8,750円

通信費

1万5,000円

教育費

2万2,500円

趣味・娯楽費

1万8,750円

諸雑費(保険料含む)

1万1,250円

小遣い

1万1,250円

交際費

1万1,250円

貯蓄

5,000円

このモデルケースであれば、維持費として年間60万円を用意できる計算となるため、十分にマイホームを維持していけるといえます。

なお、「おうち予算シミュレーション」では、算出されたそれぞれの項目について金額を調節できます。たとえば、「食費はもう少し削れそう」という場合には、金額を小さくしてその分を貯蓄に回すことも可能です。

現在の家計と照らし合わせながら、マイホーム購入後の収支がどのくらいになるのか、シミュレーションツールで確かめてみましょう。

まとめ

一戸建てを探す家計から住宅購入予算を試算する

一戸建ての生活費はどのくらいかかる? 4人家族の場合でシミュレーション