多種の家電や照明をハンズフリーで使いこなす!スマートホーム『真鶴の家』に潜入した読者モニター2組と「これからの暮らし方」実体験レポート
神奈川・真鶴町に建つ、通称『真鶴の家』。ただおしゃれというだけではなく、実は完全なるスマートホームのモデルとして建てられた家なのだ。さまざまな家電がネットで繋がり、声で操作できたり、自動で動くIoTを実現した部屋の中を、いち早く体験した2組のファミリーに密着。コロナ禍で変わる新しい暮らし方とは?を考えながら、体験会の様子をレポートする。
神奈川・真鶴町のスマートホーム(提供:リビングテック協会)
最新家電が繋がる『真鶴の家』って?
東京から電車で1時間半ほど、神奈川の南西部に位置する真鶴町は、相模湾を臨む小さな港町で、鯵や鯖、金目鯛や生しらすなど新鮮な地魚も豊富。釣り好きで知られる故・梅宮辰夫さんが晩年を過ごした豪邸が建つ人気の別荘地でもあり、東京からの移住者も多い。
真鶴駅から車で5分の海沿いに建つ『真鶴の家』は、サラリーマンの郊外居住とスマートホームの普及促進を目的に建てられたモデルハウス。住宅建材メーカー「YKK AP」をはじめ、住宅キット販売プラットフォームを手がける「ワールドハウジングクラブ」と、“暮らしをテクノロジーで豊かにする”をミッションに掲げ、多くの企業が加盟する「リビングテック協会」3社が共同で取り組む注目のプロジェクトだ。『真鶴の家』に今回、モニターの2組の家族を招き、新たな家電や住まいの形を体験するイベントが行われた。2組とも本格的なスマートホームは初体験だ。
「うわぁ~素敵な造り!すごい。ホテルみたい~」
晴れた日は真っ青な相模湾が一望できる『真鶴の家』を訪れたご家族から、口々に驚きの声が。この日参加したのは、内山さんご夫妻と、福留さんファミリーの2組の仲良し一家。
内山忠雪さん(52才)と妻の順子さん(47才)
福留直樹さん(42才)、あおいちゃん(4才)、頼人くん(8才)、啓子さん(41才)
明るい光が降り注ぐ敷地面積175平米(53坪)の木造平屋建ての住宅は、家電や住宅設備機器がインターネットに繋がり、音声でハンズフリー操作できたり、自動で照明やカーテンの開け閉めができたりと、住む人の暮らしに寄り添う設計となっている。
まずは、玄関を開けるとすぐに洗面台が設置され、天井に埋め込まれた“ナノイー”発生機でコロナ禍で高まる衛生意識を考慮し、常にキレイな空気を保つスタイル。
「手を洗う習慣が定着しましたから、家に帰って一番に手を洗うことができますね」と、順子さん。
玄関を入って右がワーキングペースになっており、コロナ禍で在宅ワークが増えたという直樹さんも興味津々。
ケーブル類がすべて収納され、すっきりとしたワークスペース(提供:リビングテック協会)
ワークスペースがリビングと離れた場所にあるので、生活と仕事を切り分けられ、仕事にも集中できそうだ。
ホテルライクなリビングで最新家電を体験
廊下を通って緩やかな階段を下ると、天井が高く開放的でホテルのようなリビングスペースが広がる。部屋に設置された最新のスマート家電の解説からスタート。
ホテルのような非日常がコンセプトのリビング(提供:リビングテック協会)
まずは、スマート家電について各メーカーの担当者からレクチャーを受け、設定に挑戦。アイロボットジャパン合同会社の竹迫大佑さん(写真左奥)が、『ルンバ』についてレクチャー。写真は「ルンバ i3+」(79,800円・税込)。本体のダスト容器からゴミを自動で吸引し、密閉式の紙パックにためられるクリーンベース付きモデル。フェイスプレートもおしゃれなファブリック調。
「アレクサ、○○して」と話しかけることでさまざまな操作ができるスマートスピーカー『Amazon Echoシリーズ(アマゾンエコーシリーズ)』(アマゾンジャパン合同会社)、スマホで遠隔操作できるスマート照明『Philips Hue(ヒュー)』(シグニファイジャパン合同会社)、自動でお掃除をしてくれる『ルンバ』(アイロボットジャパン合同会社)など、最新のスマート家電がそれぞれが繋がることで、生活がより便利になるという。
「アレクサ、行ってきます!」と声をかけるだけで、カーテンが自動で閉まり照明が消え、『ルンバ』が突如動き出し、出かけている間に掃除をしてくれる。
帰宅時には、「アレクサ、ただいま」と言えば、照明『Hue』が温かい暖色系の灯りに変化したり、「アレクサ、おはよう」で、朝の目覚めにふさわしい明るい灯りに変化したりと、家族の生活シーンに合わせて、照明が自動で切り替わる。
話題のスマート照明『Philips Hue』を手がけるシグニファイジャパン合同会社の宇野雄一さん。テレビの背後に設置する照明で、映像や音楽とリンクさせて臨場感を演出することも。
写真は「Philips Hueホワイトグラデーション スターターセット」(16,280円・税込)。温白色からクール ホワイトの白色光まで色調調整が可能なライト。アプリ、音声認識、調光器スイッチで簡単に操作でき、Hue ブリッジを使うと全機能が利用できる。
スマートスピーカーの設定は思っていたよりも簡単と内山さんご夫妻。
最新スマート家電を体験したみなさんからは、
「電気がひと声で消せるというのはいいですね。寝室で眠るとき、ベッドや布団から出て電気を消さなければいけないのはちょっとしたストレスですから」(順子さん)
「照明を夜の雰囲気にしてだんだん暗くしていけば、子供たちが眠りのモードに入ってくれるかも。なかなか寝てくれないこともありますから…」(啓子さん)など、と、さっそく自宅で使うシーンの想像が膨らむ。
「スマートスピーカーは、なんだか可愛いというか、話しかけていくことでどんどん愛着がわきそうですね」(順子さん)
写真は「Echo Dot 第4世代with clock」(6,980円・税込)のトワイライトブルー。キュートな球体デザインがインテリアのアクセントに。明瞭なボーカルとバランスの取れた低音で豊かなサウンドを再生するスマートスピーカー。
「九九の練習をしたり、いろんな調べ物をしたり、子供の勉強にも役立ちそうですね。ひとりで留守番をしているときは、スマホから繋いで『宿題やった?』って、チェックをするのにいいかも(笑い)」(啓子さん)と、福留家では子育てに役立ちそうだ。
『Amazon Echoシリーズ』の使い方をプレゼンするアマゾンジャパン合同会社の古屋美佐子さん。「『アレクサ、3分タイマーかけて』などと声でタイマーがかけられます。手が濡れている料理中にも非常に便利なんですよ」
「スマートスピーカーは、高齢の母が1人暮らしをしているので、使えるようになると便利だろうなと思って、以前から興味がありました。今回実際に使用体験ができて、背中を押してもらえた感じです」(忠雪さん)
「アメリカに住んでいる姉が、両親とのやりとりに使っていて、すごく便利だよって言っていました」(啓子さん)と、離れて暮らす親とのコミュニケーションに活用したいという声も。
長男の頼人くんも興味津々
さらに、スマートスピーカーや照明などの機器の操作を、すべてスマホに集約できるスマート家電リモコン『eRemote5』(株式会社リンクジャパン)も体験。
「家電が増えるたびにリモコンも増えてしまうので、1つに集約できるのは本当に便利ですね」(直樹さん)
最新のスマート家電に触れ、「電気の色が変わるのが面白かった!」(頼人くん)と、子供たちも実感しながら楽しんでいた。
当日の体験会の様子はこちらの動画でもチェック (https://www.ltajapan.com/project/pjt002/)
コロナ禍で変わる暮らし「スマートホーム」の可能性
『真鶴の家』体験会には、住まいの情報サイト『SUUMO』編集長でSUUMOリサーチセンター所長の池本洋一(以下、池本さん)さんがゲストとして招かれ、座談会も行われた。
リビングテック協会・田形梓さん(写真左から3人目)の進行で座談会を実施。「コロナを経て住まいに求めるものも変わりました」(池本さん、左から4人目)
リビングテック協会広報・田形梓さん(以下、田形さん):コロナ禍で暮らし方に変化はありましたか?
直樹さん:リモートワークは断然増えて、働き方は大きく変わりましたね。時間ができたことで市民農園を始めて子供達の食育にもいいだろうと思ったけど、子供達はあまり興味がなさそうですが(笑い)。
順子さん:我が家は、夫は医療機器を扱う仕事なので忙しくなってしまいましたが、私と大学生の娘はお家時間が増えました。家で過ごす時間が増えたので、庭の花壇を手入れをして犬が遊べるように整えたり、家族と庭でバーベキューをしたり、お家で過ごす時間で楽しむ工夫をしていましたね。
池本さん:コロナ禍を経験して、住む場所も働く場所の選択肢も多様化しましたよね。以前は、仕事や職場が先にあって、その近くに住まいを探すというスタイルでしたが、リモートワークが進んだことで、お家時間が先にきて、暮らしの中に仕事が存在するようになりました。
以前は「働き方改革」といって仕事ありきの考え方でしたが、リモートワークが定着したことでシゴトよりクラシを先に考えるようになった。我々はこれを「クラシゴト改革」と呼んでいるんです。どこで仕事をしてもいいわけで、真鶴のように自然が豊かな土地で暮らすとか、選択肢が増えて、生き方そのものを見つめ直す機会になりましたよね。人生で大切にしたいことがはっきりしてきたと思いますね。
順子さん:私は自然豊かな場所に住みたいとずっと思ってきたから、緑がたくさんあって広い庭があって、(すでに)田舎暮らしを選んだことは、間違ってなかったって思いますね。
忠雪さん:私は都会が好きでしたが(笑い)、今はすっかりこの暮らし方が気に入っていますね。高速のインターも近いし、仕事で都心へ出るにもラクなんですよ。
池本:たしかに昔は都会の「駅近」が人気でしたが、地方に住んで「高速インター近」は家選びのポイントになるかもしれませんね。
田形さん:スマート家電、体験してみていかがでしょうか?
直樹さん:設定や操作が難しくて使いこなせないんじゃないかと思っていましたが、今日体験できてよかった。ハードルが下がりましたね。
啓子さん:うちは両親と二世帯住宅に住んでいて、太陽光発電を取り入れているんですが、将来的にはスマートスピーカーと連動して声で操作できるようになったらいいですね。
順子さん:家電がインターネットに繋がるって、設定さえできてしまえば、感覚的に使えるんですね。なんとなく漠然としかわからなくて、ずっと料金がかかり続けるんじゃないかとか、ちょっと不安だったんですけど、そんなことはなくて。
田形さん:自動で電気が消えるから電気の付けっ放しがなくなって家族のケンカが減ったとか、お子さんがスマートスピーカーで天気や気温を確認して自分で洋服を用意するようになったという声もありますよ。当協会が8月に実施したインターネット調査の結果、家族の暮らしの“豊かさ指数”が上がったという事実もあるんですよ。
池本さん:カーテンが自動で空いて、自然光で気持ちよく目覚めるっていいですよね。心地いいとか、楽しいとか、ワクワクするとか、人の感情を動かすものは、生活に定着していくんですよ。子供たちはスマートスピーカーで楽しんで勉強するんだったら、お母さんだっていつも子供たちに勉強しなさい、早く寝なさいって言わなくて済みますよね。
啓子さん:本当に子育てって時間との闘いで、叱ってばかりいて自分を責めてしまうこともありますから…。
池本さん:ガラケーからスマートフォンへシフトしたように、テクノロジーって何かの代替になると一気に普及するんですよね。これまでしていた行動が、スマート家電が肩代わりすることでグッと生活が楽しく、豊かになると思います。
忠雪さん:明日仕事がお休みなので、早く自宅で試してみたいです!
さまざまな機器が繋がることで家族の笑顔が増えるスマートホームは、今後ますます身近になりそうだ。今回2組のご家族が『真鶴の家』で体験した商品は、実際にご自宅で使ってもらった様子を、改めて@DIMEでレポートする。
【データ】『真鶴の家』神奈川県足柄下郡真鶴町公式サイト(HiL内/HiL TOWN):https://home-i-land.jp/敷地面積:175㎡(53坪) 延床面積:77.67㎡(23.45坪)構造:木造軸組み工法+パネル工法 平屋
撮影/伊藤勇二 取材・文/望田真紀