整理整頓、清掃だけで効率化はグンと進む
写真:ダイヤモンド・オンライン
かんたんに増収が見込めない時代。手元に資金もなく、思い切った投資もできない。なかなか利益も手元に残りません。しかし、取引先ゼロ+キャッシュフローほぼゼロ+金融機関からの融資拒否という経営状態だった鍛造工場を引き継ぎ、わずか数年でもうかる体質に変貌させ、上場企業に100億円で売却した平美都江氏は、現場を安全に、快適にすればするほど、生産は改善、効率化できること、そして、改善や効率化に投資すればするほど会社はもうかり、手元に現金が残り、従業員の待遇も改善できると説きます。経営半生をつづって大きな反響を得た前著『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか』、悲惨な事故で肉親を失ったことをきっかけに安全投資を始め、やがて爆発的な利益をたたき出す経営ノウハウへと行き着いた『なぜ、おばちゃん社長は「絶対安全」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』に続き、第3作目となる『なぜ、おばちゃん社長は「無間改善」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』を上梓。いったい、地方の工場をゼロからどうやって「利益爆発」体質に変換できたのか? 本連載では、平氏の考えと取り組みのエッセンスを抜粋・再構成のうえ紹介します。● 家ではロボット掃除機なのに、 なぜ現場は手で掃除? 清掃は、生産効率維持のためにも、従業員の労働環境のためにも不可欠で、したほうがいいに決まっています。 最悪、機械が止まれば生産計画は台無しです。 私たち鍛造の現場でも、一般的な清掃に加え、機械の潤滑や焼け付き防止のために使っているグリスの汚れや、金属から出る廃棄物にも対処しなければなりません。 ただ、清掃自体が直接売上に結びつくわけでもありません。長時間つらい掃除をしている従業員も気の毒です。 必要な清掃を、完璧に、しかしできるだけ手早く済ませることも、重要な改善のひとつ。そのためにできることがたくさんあります。 ピンと来ていない人は、最近家庭でよく使われるようになったロボット掃除機を想像してみてください。 自分の家であろうと、掃除は時に面倒です。かといってホコリだらけの部屋でリラックスはできません。できることなら誰に掃除を代わってもらい、いつも勝手にきれいにしてくれていれば最高です。この妄想(?)を現実に近づけたのがロボット掃除機です。 ところが、不思議なことに、工場を初めとする現場では、今もなお掃除があまり機械化、自動化されていません。ほうきとちりとりでやっているところも珍しくないのではないでしょうか。なぜ会社はそうではないのでしょうか。