「共創力」で描く未来の形とは?――アイロボットCEOコリン・アングル氏×楽天大学学長・仲山進也氏×テックライター・大谷和利氏
世界累計販売台数3000万台を突破!今なお、売れ続けているロボット掃除機「ルンバ」を作った男、アイロボットCEOのコリン・アングル氏が、幼少期のころ、アイロボット設立時、「ルンバ」誕生から成功までの秘話、未来の夢までを世界で初めて語った本『ルンバを作った男 コリン・アングル「共創力」』が10月29日に発売された。
『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』1600円+税。詳細はこちら
その発売を記念し、これからのビジネスになくてはならない「共創力」についてのトークイベントが11月3日配信されたので、その模様を一部ご紹介しよう。
アイロボット・コーポレーション 創業者兼CEO コリン・アングル氏
1990年にアイロボット社を設立。2002年に世界で初めて商業的成功を収めた実用的なロボット掃除機「ルンバ」を発売。今回のイベントは米マサチューセッツからリモートでの参加
楽天株式会社楽天大学学長・仲山進也氏
創業期(社員約20名)の楽天株式会社に入社、初代ECコンサルタントとなる・2000年に楽天市場出店者の学び合いの場「楽天大学」を設立、人にフォーカスした本質的・普遍的な商売のフレームワークを伝えつつ、出店者コミュニティの醸成を手がける。
『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』著者・テックライター 大谷和利氏
スティーブ・ジョブズ、ビル・ ゲイツ、スティーブ・ウォズニアックのインタビュー記事をはじめ、IT、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動や、製品開発のアドバイスを行う。
ナビゲーターはジョン・カビラ氏
ラジオパーソナリティ/ナレーター/キャスター。1988年J-WAVE 開局と同時にナビゲーターに転身。以降はスポーツ番組MC、情報番組MC、テレビ、CM、雑誌、舞台など幅広く活動中。
セッション1 これからのビジネスになぜ「共創力」が必要なのか?
リモートワークの普及などコロナ禍で働き方が急速に変わる中、コミュニケーションを円滑化させ、会社全体が同じ方向に進んでいくために必要な力、それが「共創力」であると3人は声を揃えて言う。
アングル氏「ソーシャルメディアの台頭や、行きすぎた個人主義により”共同作業は悪である”と感じる人が増えてきており、それによって本当に素晴らしい新しいことを生み出す力が抑制されているのではないかと思います。
協力し合うことで新しく素晴らしいものを生み出す重要性を強調することは、新たなビジネスや組織を作ろうとしている人々にとっては非常にタイムリーなメッセージです。現在我々が暮らす社会には新しいツールやイノベーションに満ち溢れており、それらが本来持つ力を解放するためには非常に複雑で強力な知識を揃えていく必要があります。
そのような知識というのは一人の人間で補えるものでは到底ありません」
仲山氏「僕は仕事を遊ぶっていうのが一番重要なポイントだと思ってまして、仕事で共創が起こる時のイメージは、子供が公園で放課後に遊んでいて誰かが“隠れんぼする者この指止まれっ”て旗を立てて、そこにみんなが集まってきて遊び始める。
多分ずっとやっていると飽きてきたりするんですけど、そうするとその顔ぶれに合わせながらちょっとルールをチューニングしたりして、だんだん難易度が上がっていきながら全員飽きない状態で楽しく遊び続けられる。それが良い共創に繋がるっていうふうに思っています」
大谷氏「この本の取材初日にコリンさんにお会いした時から感じたんですけれども、非常にオープンマインドな方なんですね。もちろん自分たちの強みのロボットについては世界で一番知っている会社であるという自負はあるわけなのですが、自分たちに足りないものが何かということも分かっていて、それをこう、外からどんどん受け入れていこうという姿勢なんだと思います。
それは非常に共創力には重要な要素かなと考えます。またコリンさんは優れたリーダーですけども『共創力』という枠組みの中では場合によっては聞き役に回ることもあります。リーダーって上下関係ではなくて、そのチームの中で与えられた役割なんですね」
「共創力」に関する興味深い話はまだまだ続くが、続きはこちらのアイロボット公式YouTubeまたは他SNS(記事下参照)で視聴が可能だ。
セッション2 未来のエンジニアがコリンさんに聞いてみたいこと
現在、東京工業大学でロボティクスを研究している6名の学生が登場。「行き詰ってしまった時の乗り越え方」、「なぜルンバを始め家庭用ロボットに事業を絞ったのか」など、プロとして通用するエンジニアや経営者を目指す皆さんからの質問にアングル氏が真摯に回答。たとえば…
工学院機械系学部4年の渡邊和喜さんの質問
「開発を行っていてうまく行かなかったりした時、アイデアは出さなきゃいけないんですけどどうしても出てこない。そんな時に人と一緒にやるときとか、自分で考える時とか、何かアイデア出すための工夫などあるか聞いてみたいです」
アングル氏「2つのアドバイスを差し上げたいと思います。 ひとつは、なぜ自分がその研究をしているのか、何を達成したいのかを明確にすることです。”なぜ”という視点を失えば、続けるためのモチベーションは簡単に失われます。すべての研究には多くのチャレンジが伴いますし、計画通りに開始・終了した研究プロジェクトの例はほとんどありません。ですから、あなたが困難を感じているという事実は“あなたが正しく研究を行なっている”ことを意味します。
ふたつ目は『共創力』のテーマに関わります。あなたはひとりではない、ということです。あなたが尊敬し、あなたのミッションに賛同する人たちでチームを創ったなら、あなたはチーム全員のアイデアとスキルを活用するべきです。 アイロボットの長い旅の中で何度もそのような局面がありました。
問題に直面し、私が克服する方法がわからずにいると、会社の共同創設者やパートナーが”こんな風に考えてみたことはある?”とアドバイスしてくれます。ある時は、彼らが名案を持っていたり、またある時は、彼らのアイデアによって私の考えが新しい方向に動かされ、それによって以前では考えなかったであろう打開案を見出すこともできました」
学生だけでなく仕事に行き詰まるビジネスパーソンやスタートアップで成功を成し遂げたいと思う人ほか、何かを打開したいと思う人にも気づきが得られるやりとりは必見!こちらの模様も上記YouTubeまたは以下SNSで見ることができる。
アイロボット公式Twitter :https://twitter.com/iRobot_Style/Facebook :https://www.facebook.com/irobot.jp/Instagram :https://www.instagram.com/irobot.jp/
文/DIME編集部