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「ルンバ j7+」は日本の住宅に向くロボット掃除機

アイロボットジャパンのロボット掃除機「ルンバ」シリーズから、新モデルとなる「ルンバ j7」と「ルンバ j7+」(以下、j7シリーズ)が登場しました。オンライン発表会と体験会からお届けします。アイロボットジャパンのマーケティング本部長 兼新規事業開発室長 山田毅氏は「ルンバ j7は日本の家庭にぴったりのロボット掃除機」と自信を見せます。

公式オンラインストアの価格は、j7+が129,800円。本体のゴミを吸い上げて紙パックに溜めるクリーンベースとのセットです。クリーンベースはルンバ本体の充電も行います。一方のj7は99,800円。充電機能のみのホームベースが同梱されます。発売は両モデルとも2月10日です。

j7シリーズは「使う人の気持ちによりそう」――そんな考えのもと開発されたロボット掃除機。最大の特徴は「PrecisionVision(プレシジョンビジョン)」ナビゲーションです。これは、ルンバの本体前面に搭載したカメラによって、目の前にあるコード類やペットの排泄物(固形の糞のみ)などの障害物を識別し、回避しながら掃除するという機能。

従来モデルのi7シリーズが搭載していたカメラは本体の天面にあり、斜め上方向を向くような角度でした。壁や家具の輪郭をキャッチして、部屋の間取りマップを作るための配置です。対して今回のj7シリーズは、カメラが真正面を向くように内蔵されたことで、床の上の物体も把握できるようになりました。

例えていうなら、旧i7シリーズは上を見ながら歩いていて、新j7シリーズは下を向きながら歩いているようなもの。j7シリーズは自分の足元から先をしっかり確認して、障害物を回避できるわけです。

目の前に障害物が見えると、機械学習と画像処理技術によって障害物を認識する仕組み。障害物を赤い四角の枠でチェックし、その赤い枠の形状変化を見ながら物体までの距離を割り出しています。

j7シリーズはスマホアプリと連携し、クラウドとも通信。クラウド上で管理している障害物情報のほか、j7シリーズ自身にもマシンラーニング用のプロセッサーを搭載して、リアルタイムに物体を認識しています。

【動画】掃除の動きを止めて、障害物を回避します

j7シリーズが発売時点で認識する障害物は、靴(スリッパ)、靴下、充電ステーション(j7シリーズとブラーバ ジェット m6)、ケーブル類(ヘッドホンコード、電源ケーブル)、ペットの排泄物(固形物)です。これは将来的に増えていく予定。

この機能のポイントになる技術が「iRobot Genius(アイロボットジーニアス)」で、ルンバやブラーバの機能を定期的にアップデートする機能。クラウド上でユーザーの利用環境や間取り情報などを学習します。

現在、アイロボットジーニアスによって可能になった機能には、「スマホのGPS情報を元に外出時に掃除を開始する機能」や「進入禁止エリアの提案」などがあります。もちろん、ユーザーのルンバから各種情報を得るときはプライバシーに配慮し、個人が特定されないような方法を採っているとのことです。

j7シリーズのキャッチコピーは「散らかった床でもすいすいキレイ、みわけてよけて掃除するルンバ史上最高のかしこさ」――。

マサチューセッツの自宅からオンライン参加したアイロボット社CEOのコリン・アングル氏は、「アイロボットジーニアスとj7シリーズのフロントカメラによって回避する物体が分かります。吸い取ってから利用者に知らせるのではなく、最初に認識して、どういった障害物があるかをユーザーに知らせます。すべてを吸い取るのではなく、障害物と認識した物体は床に残します。ユーザーが手動で障害物を設定する必要もありません。掃除を任せられる頼もしいパートナーになります」と、j7シリーズの性能を説明しました。

少し補足すると、j7シリーズが掃除を終えたとき、障害物を回避した(掃除できなかった)場所をアプリに通知します。いずれは部屋を片付けるでしょうから、次にj7シリーズを動かすときに前回の掃除で残した物体がなくなっていれば、同じ場所でもきちんと掃除してくれます。

障害物を認識してあえて床に残すとよい最たるものが、ペットの排泄物(j7シリーズが対応するのは固形の糞のみ)ではないでしょうか。今回のj7シリーズ開発にあたっては、ペットの糞の模型を100以上も作り、10万点以上の画像を機械学習して認識精度を上げたというから驚きです。

「ルンバ j7+」は日本の住宅に向くロボット掃除機

「累計販売台数4,000万台を誇るアイロボットは世界中のありとあらゆる床の材質、間取り、障害物などを知っています。機械学習によって画像認識の精度を高めるにはデータ量が必要。ベースとなる豊富なデータがなければ、j7シリーズのような高い認識はできません。ユーザーが多いほど、j7シリーズは賢くなります」(アイロボット プロダクト&マーケティングストラテジーシニアマネージャーの山内洋氏)

j7シリーズは日本に先駆けて4カ月前に米国で発売されています。米国のユーザーが使うことによって、障害物として認識・回避する物体に靴(スリッパ)や靴下が加わりました。今後も障害物情報は更新され、避けられる障害物が増えていく予定です。

「ペットオーナー保証」や3カ月無料サブスクキャンペーンを実施

アイロボットジャパンの山田毅氏は、「プレシジョンビジョンは日本のお客さまがロボット掃除機を疑う気持ちを一掃する機能だと思っていますと」と話します。

中国、欧州、米国などと比べて、日本ではロボット掃除機の普及率・利用率は低め。その背景にあるのが、「日本では掃除は自分で行うものという価値観が大切にされている」(山田氏)ということ。

アイロボットが「お客さまがなぜロボット掃除機を使わないか」を考えて研究したところ、「ロボット掃除機がどこかで止まることなく掃除を完結することが満足度につながる」というひとつの結論にたどり着きました。

以前のルンバは「バーチャルウォール」という物理的なパーツを利用して、進入禁止エリアの設定などをしていましたが、その設定を面倒に感じる人がいるのもうなずけます。今回のj7シリーズは、こうした不満を解決します。

「日本の住宅は複雑です。間取りが多彩で、段差もあります。床材も、畳、フローリング、じゅうたんなどさまざま。さらに、裸足で生活してるので床の上に物を置くことが多いですよね。j7シリーズは、床に置いた物を回避してくれるロボット掃除機。これほど日本の住宅環境に合うロボット掃除機はないと思います」(山田氏)

障害物のデータは3カ月に1度のペースでアップデートされるので、j7シリーズが認識・回避する障害物の精度は高くなっていき、新しく認識・回避できるようになる障害物も増えます。ユーザーが同意しなければ、ユーザーの宅内を掃除したときの障害物の画像データはクラウドにアップされませんし、データは個人が特定できないように暗号化されて格納されていきます。また人が写った画像はデータとして残さないようにしているそうです。

「これまでの家電は買ったときが価値のピークですが、j7シリーズはずっと学習し続けて、機能が次々と進化していく家電です。そういう意味では、サブスクと相性がいい。お客さまには定期的にお支払いいただきながら、信頼関係を継続していけます。気に入った機能がなければお客さまは製品を返却します。そのため、我々はよりよいサービスをずっと提供しなくてはなりません」(山田氏)

アイロボットでは、独自のサブスクサービス「ロボットスマートプラン」を用意しています。2週間の「おためし2週間コース」と3年間の「あんしん継続コース」がありますが、3年間の長期プランの利用が爆発的に増えているんだとか。j7シリーズの発売にあわせてキャンペーン(以下)も実施されます。

ほかにもj7シリーズでは、購入者に対して「ペットオーナー安心保証」を用意。ペットの固形排泄物を吸い込んでしまったら、メーカー保証期間内に1回限り、本体を無償で交換します。とても思い切ったキャンペーン。アイロボットの自信を感じます。

アイロボットジャパンは以前から、2023年までにロボット掃除機の世帯普及率を10%にすることを中期目標としています。山田氏は、j7シリーズがロボット掃除機の普及を後押しすると見ています。

「j7シリーズなら、床に物が多いなど今までロボット掃除機がうまく動かなかった環境でも掃除できます。『うちはロボット掃除機を使うのに向いていない』と思っている人にも試していただきたい」(山田氏)

これまで、ロボット掃除機のおもな購入層は20代~30代のヤングファミリーでしたが、現在は買い換えニーズや40代~50代の購入も増えているそうです。さらに、シングルやシニア世帯でも利用が広がっています。

「お客さまの環境やライフスタイルにあわせて選んでいただけるよう、ラインナップを広げています。例えば、シングルや部屋数が多くない家ならルンバ e5で十分だと思いますし、広い部屋や間取りが多い家にはルンバ s9をおすすめします。床に物を置くことが多い場合はルンバ j7シリーズをぜひ使っていただきたい。j7シリーズは、ペットオーナーはもちろん、小さなお子さんがいる家庭にもおすすめです」(山田氏)