パナも新製品 業務用ロボ掃除機 150億円市場へ
長引く新型コロナウイルス禍の影響で、ビルや商業施設などを清掃する業務用ロボット掃除機の需要が高まり市場が拡大している。パナソニックは3月、大空間に対応したタイプを発売。ソフトバンクロボティクス(東京)が開発した製品は発売1年余りで世界シェア首位となった。感染対策のため衛生意識が高まったことに加え、飲食・サービス業などで省力化の動きが強まり、導入を決断する企業が増えているようだ。
国内の業務用ロボット掃除機は床のホコリなどを吸い取るタイプが主流で、ビルや倉庫で使う大型のものから、オフィス用の小型のものまでさまざまな製品がそろう。パナソニックによると、清掃業界の人手不足を受けて令和元年度から業務用ロボット掃除機を導入する企業が増加。コロナ禍で需要はさらに拡大し、元年度に50億円に満たなかった国内市場規模は、6年度には150億円に達する見込みという。
市場の動向を受け、同社は3月からビルメンテナンスの清掃業務向けのロボット掃除機「RULO Pro」の新モデルを発売する。長距離対応のレーザーセンサーを搭載し、最大で約25メートル離れた壁面を検知して位置を把握することでエントランスホールなど広い場所の清掃に対応。清掃エリアの地図を作成する機能も備えており、一度スキャンすれば清掃を自動化することができる。
現在は集塵(しゅうじん)機能に特化しているが、除菌への要望も高まっていることから、同社の担当者は「除菌効果のある当社のナノイー技術などを活用できないか検討したい」と話す。
飲食・サービス業をターゲットに成功したのがソフトバンクロボティクス(東京)が開発した「Whiz(ウィズ)」だ。元年5月の発売から1年余りで世界販売台数が累計1万台を突破し、業務用ロボット掃除機の世界シェア1位に。後継機のウィズアイと合わせて、レストランチェーンのサイゼリヤやデニーズなど国内2500社が導入する。微細な粒子を捕集する「HEPAフィルター」を搭載し、1カ月のレンタル料金が4万円前後と安価だったこともあり、普及につながった。
電動工具大手のマキタはオフィス向けの小型の製品を販売。「コロナ禍で人の出入りによる感染リスクを懸念する企業からの引き合いが増えた」(担当者)といい、昨年11月には部屋の形状を記憶する機能などを追加した新製品を発売した。(桑島浩任)