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May

特集 シリーズ【熊本市議の政務活動費】3回目 按分判断と年度末支出

続いては政務活動費、熊本市議会が公開している議員1人1人の領収書を総チェックし、使い道や支出のあり方について考えています。まずはおさらい、政務活動費とは、からです。

報酬や期末手当、交通費に相当する費用弁償とは別に議員に交付されているものです。熊本市議会では議員1人当たり年間240万円。もちろん市民の税金から出されています。シリーズ3回目の3日は『按分』についてです。議員の活動は政務活動、政党活動、選挙活動、後援会活動など多岐に渡っていて明確に区分するのは難しいところもあります。このため政務活動費の支出額を2分の1や3分の1にする手法が『按分』です。『全額』を支出するのか『按分』が必要か。さらに私たちが行った領収書の総チェックから、『年度末』に物品の購入が相次いでいたこともわかりました。事務所で使うというトイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパーなどの日用品の全額を支出したケースがありました。

【熊本市民インタビュー】「必要。必要最低限なら」「それは生活に関わるものなので政務活動ではないんじゃないでしょうか」

3万9340円の掃除機を事務所用として全額支出したケースもありました。

【熊本市民インタビュー】「(事務所使用で)3万円?4万円?ちょっと高い」「政務活動費で掃除機とかテッシュペーパーはないんじゃないかって思う」「ないと困る場合もあるかもしれませんけどね」「それが事務所にあるならいいんですけど自分の家に移動しとったりなんかしたらですね」

特集 シリーズ【熊本市議の政務活動費】3回目 按分判断と年度末支出

支出した議員はTKUの取材に対し「事務所は仮設のトイレを使用していて相談に来た市民も利用するため支出している」「掃除機は自宅用と兼ねていることはない。このメーカーとしてはたまたま安かったため購入した」と話しています。

一方、運用の手引きには支出の対象は「その年度の1年間に消費されたもの」とあります。しかし、私たちが領収書を確認すると、年度末近くに物品を購入しているケースがいくつかありました。3月中旬以降にデジタルカメラを購入が3人、プリンターが2人、ハガキ1400枚の購入が1人、先ほどの掃除機も3月21日の購入でした。いずれの議員もTKUの取材に対し「必要な支出でありたまたま年度末になった」としています。

【熊本市議会 原口亮志 議長】「年度末購入につきましては予算消化のための支出であるというようなことを市民に疑念を持たれないためにもそれはそれぞれの議員が説明すべきだと思います」

熊本市議会が、領収書など政務活動費の公開を始めて今年でちょうど10年目。

【熊本市議会 原口亮志 議長】「政務活動費の原資は税金です。今後は政務活動費もテーマに会派の中でも議論していただくことは非常に重要と認識しています」

使い道の公開は、市民が議員の活動を知ることにもつながります。市民の理解と信頼を深めるため説明責任を果たす努力がなお求められています。ところで、VTRでお伝えした他にも領収書を確認して疑問が生まれた支出はありました。

駐車場料金など領収書がもらえない場合などに必要な個別の『支払い証明書』を添付していなかったり、同じ日付で時間が重複した2枚の駐車料金レシートでそれぞれ支出されているものもありました。これについてはTKUの取材後、議員からすぐに返還されました。また、名刺の支出、これは1000枚まで認められているのですが、『1枚105円』の名刺を1000枚購入で10万5000円という支出もありました。支出した議員はTKUの取材に「受け取った人に捨てられない名刺を作ろうと思った。単価の基準はないので適正と思っている」と話しました。ちなみに私たちが今回領収書で確認した熊本市議の名刺1枚の平均額は36円です。ところで今回の政務活動費取材の中で領収書などをチェックしたうえで使い道などについて個別に取材させていただいたのは熊本市議・全48人中の12人。それ以外の方に特に疑問のある使い方はありませんでした。また、この12人中、インタビュー収録に応じてくださったのはお1人のみでした。(議長は別・12人に含まない)また、私たちの取材に対し応じられないとした議員も1人いらっしゃいました。