防災用の備蓄に「充電池」を避けたほうがいい理由
一般的に乾電池は消耗品ですが、充電式の乾電池(二次電池)は再利用が可能です。充電の手間はあるものの、ニッケル水素電池の場合2,000回は繰り返し利用できるので、使い切りの一次電池(アルカリ/マンガン乾電池)と比べ長い目で見れば経済的で自然にも優く、電池式のデジタルガジェットには最適です。防災用に備蓄する電池、どうすればいい?とはいえ、すべての電池を二次電池に置き換えるのは考えもの。典型例は「懐中電灯」や「常備灯」といった電池式の照明器具、こちらは一次電池のほうが適しています。理由は「少し暗くなる」から。単3・単4といった乾電池規格に適合するニッケル水素電池などの二次電池は、電圧が1.2Vと一次電池(1.5V)に比べ低く、電池3本を使う照明器具の場合約20%暗くなる計算です。懐中電灯のように明るさが重要なガジェットの場合、20%の明度差は無視できないほどで、一次電池のほうが有利といえます。もうひとつの理由は「自然放電がある」ため。自然放電とは、電池に蓄えられた電気の量が時間とともに減少する現象のことで、二次電池のほうが大きいとされています。自然放電を抑えたニッケル水素電池も販売されていますが、緊急災害時に使う懐中電灯や防災ラジオの備品としては、一次電池のほうが適しています。なお、光源にLEDを使用する懐中電灯では、一次電池/二次電池の差は生じないかもしれません。定電流駆動回路(LEDドライバ)を搭載した製品の場合、つねに一定の電流が流れるため、LEDの輝度は一定に保たれるからです。ただし電池の消耗度がわかりにくいので、電池電圧の低下を知らせるLEDを装備した製品を選ぶといいでしょう。
海上忍