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自動車・同部品分野の生産連動型優遇策

インド重工業省は11月、自動車・同部品を対象とした生産連動型優遇策(PLI)の申請受け付けを開始した。政府は同分野のPLIにおける補助金として、今後5年間で総額2,593億8,000万ルピー(約3,890億7,000万円、1ルピー=約1.5円)の予算を計上しており(2021年9月24日記事参照)、外資系を含む企業からの申請を2022年1月9日まで専用ウェブサイトで受け付ける。

自動車・同部品分野のうち、完成車(自動二輪・三輪車を含む)における本PLIの対象製品は、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の2つだ。完成車メーカーが申請する場合、全世界における2020年度(2020年4月~2021年3月)の年間売上高が1,000億ルピー以上であることと、固定資産額(取得価額)が300億ルピー以上であることの2つが最低要件となる。今後5年間の計画として、自動二輪・三輪車の場合は計100億ルピー、それ以外の場合には計200億ルピーを段階的に投資することが求められる。

自動車部品における本PLIの対象製品は、先端技術を用いたものと定められており、電気自動車や燃料電池車用の部品に限られているわけではない。先進運転支援システム(ADAS)や電子制御ユニット(ECU)、センサーなど幅広い部品が対象に含まれる(注)。部品メーカーの申請に当たっての最低要件は、全世界における2020年度の年間売上高が50億ルピー以上であることと、固定資産額(取得価額)が15億ルピー以上であることの2点だ。今後5年間で、段階的に計25億ルピーを投資する計画が必要となる。

自動車・同部品分野の生産連動型優遇策

申請が承認された場合、企業は2022~2027年度の5年間にわたり、国内で製造した対象製品の売上高増加分(基準年度:2019年度)の一定割合の金額を補助金として享受できる。完成車の場合、この割合は年間売上高に応じて13~16%と定められ、さらに5年間で累計1,000億ルピーの売上高を記録した場合には2%が追加される。自動車部品では、同割合は8~11%となり、5年間で累計125億ルピーの売上高を記録した場合には2%が追加される。電気自動車や燃料電池車向け部品の場合には、さらに5%が加算される仕組みだ。

インド政府は、「メーク・イン・インディア」をスローガンとして国内製造業の振興を積極的に推し進めており(2021年4月22日付地域・分析レポート参照)、2020年度に導入されたPLIはその目玉政策だ(2020年5月21日記事参照)。現在、対象となっている13分野において、各管轄省庁が分野ごとに対象製品や審査基準、募集期間等を定めた上で、申請企業を順次募集している。

(注)対象製品のリストは、重工業省による申請書の別紙2にあるリスト(42~48ページ目)において公表されている。日系企業からの相談は、インドの投資誘致機関インベスト・インディアのジャパン・プラス(日本人駐在)が窓口となって受け付けている。

(広木拓)