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BMWから進化した新型モデルEV「iX」「iX3」が登場 10分の充電で100km以上の走行可能に

電気自動車BMW iXおよびiX3製品発表会より

BMWから進化した新型モデルEV「iX」「iX3」が登場 10分の充電で100km以上の走行可能に

 100年に一度の変革期にある自動車業界。 MaaS(Mobility as a Service)や自動運転、電動化など自動車を取り巻く環境は著しく変化している。【写真】新型モデルEV「iX」「iX3」 人の移動手段として、時代とともに発展してきたモビリティが、新たな局面を迎えようとしているのだ。 そんななか、ドイツの自動車メーカー「BMW」は、EV(電気自動車)の未来を切り拓く新型モデルとして『iX』と『iX3』を発売する。 BMWの持つ革新的で最先端な技術を結集し、次世代型の電気自動車として市場に投入した2つのモデルは、モビリティの未来を見据えるものとなっている。 去る2021年11月4日には、iXとiX3の発売に伴う製品発表会が開催され、日本法人社長のプレゼンや製品の概要、渋谷区でのプロモーション戦略について発表がなされた。・iXとiX3の市場投入で電動化戦略を加速させる まず冒頭では、ビー・エム・ダブリュー株式会社の代表取締役社長を務めるクリスチャン ヴィードマン氏がプレゼンテーションを行なった。 BMWはエレクトロモビリティの最前線を地でいく自動車メーカーとして、電動化戦略を掲げている。 2011年に持続可能なライフスタイルを提案する「BMW i」を販売して以来、EV化や環境への配慮を成長戦略に位置づけ、ブランド展開してきた。そして、今年5月の年次株主総会では2030年までにCO2排出量を2億トン削減する目標を発表し、電動化攻勢を加速させる意向を示している。 ヴィードマン氏は「日本では2014年からPureEVのi3を発売し、電気自動車の先駆者として歩んできた。今回市場に投入するiXとiX3は、BMWが有する最先端の技術やクラフトマンシップに裏打ちされた新型EVモデルであり、今までにないモビリティ体験を提供できると考えている」と新製品への期待を寄せた。 加えて、「サスティナブルの実現や電動化の促進など、野心的な目標を達成するため、これからも持続可能なモビリティの実現に向けて邁進したい」と、常に未来を見つめて新時代のモビリティを追求していく思いを語った。・次世代EVでこれまでにない新しい価値観を提供したい 次いで、同社のプロダクト担当である佐伯 要氏が登壇し、iXとiX3の特徴について話す場となった。 両モデルの進化について、VHSとDVDの違いを例にしながら次のように製品の概要を説明した。 「1970年代に登場したVHSは、2000年代にDVDが登場したことで映像や音声が進化した。今回のiXは、この時と同様のインパクトがあると考えてもらった方がイメージしやすいと思う。また、iX3はDVDよりも進んだブルーレイのようなもので、2014年のi3よりも格段に進化を遂げている」 2014年のi3では、1回の充電あたりの航続距離は最大で200kmほどであった。 しかしながら、全国に設置されていた急速充電器の数は当時2,000台と、まだまだ道半ばの状態だったそうだ。 それが今回のiX xDrive40では航続距離が450km、iX xDrive50では650kmと、都市部での走行や長距離ドライブにも十分に対応できるようになった。同様に、BMVのミドルクラスSUV「X3」を踏襲したiX3も航続距離が約500kmとなっている。 そして、両モデルとも高出力充電に対応しているのも大きな特徴だ。 普通充電(家庭での充電)では11kWでの充電で7時間15分、6kWでは14時間でバッテリーの最大化ができる。急速充電(外出先での充電)では、150kWでの充電を行うことで、わずか10分で100km以上の走行可能になるという。 今後、高出力の充電インフラの整備が進むことで利便性をより享受できるようになり、EVの普及がさらに発展していくのではないだろうか。 「iXやiX3の機能性もさることながら、先進的でラグジュアリーな次世代EVを体現するエクステリア、インテリアデザイン、またサステイナブルな素材の使用など、イノベーションを生み出すようなエレメントが随所に散りばめられている。新型電気自動車で、これまでにない新しい価値観を提供していきたい」・イノベーションが生まれる街・渋谷で行うマーケティング 続いて、マーケティングを担当する遠藤 克之輔氏が登壇し、渋谷の街を使ったプロモーション戦略について語った。 「FEEL THE iX / iX3 @SHIBUYA~ 次世代モビリティに出会う。感じる。触れる。」と題し、渋谷の街をジャックするマーケティング施策を行うという。 渋谷スクランブル交差点に設置された大型ビジョンでは、会社設立40周年を記念したブランデッド・ムービーを放映し、さらには渋谷キャストでのiXとiX3の展示など、渋谷を訪れる多様な人々への訴求を図る見込みだ。 そして「THE iX SHIBUYA WALL JACK」では、3名の気鋭なアーティストとコラボし、渋谷の街中13箇所にアートポスターを掲示する。 「渋谷という街でマーケティングを行う理由は、BMWがイノベーションを生み出してきたことと重なる部分があるから。常にファッション、アート、ミュージックなどのカルチャーがうまれ、流行の発信地となっている渋谷の街は非常に相性の良さを感じた」・渋谷区の外郭団体や民間企業と共創する取り組みも 今回の渋谷の街を使ったBMVのプロモーションは、新型電気自動車の発売と同時期に開催される都市型フェス「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2021(SIW)」と協賛することで実現できたものだという。 SIWは渋谷区の外郭団体である「渋谷未来デザイン」が企画するものであり、会期中には渋谷の街を舞台にしたさまざまなイベントが行われる。 本発表会には渋谷区長 長谷部 健氏、渋谷未来デザイン理事・事務局長兼SIW2021エグゼクティブプロデューサーの長田 新子氏が登場し、BMWグループと渋谷区との取り組みについて語った。 渋谷未来デザインを立ち上げた理由について長谷部氏は「行政だけで解決できない課題を、渋谷の街で住む人、働く人、住む人と共創することで解決できないかと考えたのがきっかけになっている。渋谷区の持つアセットを参画いただいた企業同士でシェアし、様々なコラボや社会実装の場となればと思っている」と述べた。 未来のモビリティについても「これからICTや自動運転技術などテクノロジーが発達すれば、モビリティ体験がさらに変化していく。現在、渋谷区にはハチ公バスが走っているが、そこに音楽やアート、ファッションの要素を加えたり、さらにはスタートアップ企業との連携によって新しい価値を生み出せれば、次世代のモビリティにつながるのでは」と考えを示した。 長田氏はBMWと立ち上げた「未来アイデア会議」について次のように説明した。 「BMWグループと共創し、定期的に会議を行ったり、iXを活用して実証実験を行ったりと社会課題解決に向けたアクションを起こしていく。渋谷未来デザインや民間企業とアイデアを出し合いながら、電気自動車が『ライフスタイルの中でどう共生していけるのか』『どういう形で一緒に取り組んでいけるか』などを模索していきたい」・気鋭アーティストがiXから着想したアートも渋谷の街中に展示 後半にはTHE iX SHIBUYA WALL JACKに参加した3名のアーティストが登壇。 俳優・映像監督の安藤 政信、写真家・映像監督のレスリー・キー、ペイントアーティストの佐々木 香菜子が、今回の作品に込める想いを語った。 安藤は「役者ゆえ、いつも人を見たり、演じたり写真を撮ったりすることが多かったが、今回の作品は人を一切写さず、人の感情をアートに反映させることを意識した。タイトルの『Silence』が示すように、作品の写真から無言で語りかけるものを感じ取ってほしい」と話した。 レスリーは「コロナ禍で色々な活動が制限されることが続いているので、元気な街の姿を表現したかった」とし、作品に対する想いをこう語った。 「渋谷は東京の中でもパワーのある街。そんな渋谷の風景と個性豊かなファッションをまとう人物を組み合わせた作品になっている。また、レインボーカラーを入れることで、人も車も街も共存できるような多様性を認め合う社会を表現した」 そして佐々木は「break on through to the new world」というタイトルの通り、「コロナ禍で制限された世の中であっても、生きていく上での思考を止めない。進化することを怖がらない。自分で思い描く人生を見出し、新しい自由へと新しい自由へ走り出す様子をiXからインスパイアされて制作した」とコメントした。

古田島大介