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コロナ禍でも日本のキャッシュレス化は進行 決済サービスの動向を総まとめ

2022年3月2日8:00

国内でも「クレジット(後払い)」、「デビット(即時払い)」、「プリペイド(前払い)」の支払い手段は年々拡大している。総括では、国内のキャッシュレスビジネスを取り巻く状況について紹介する。

日本のキャッシュレス比率は29.7%「非対面」、「非接触」がキーワードに

新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大が収束しない中、国内では飲食や旅行などで大きなダメージを受けているが、キャッシュレス決済比率は堅調に伸びている。経済産業省の「2021年度第1回 キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」の資料によると、2020年のキャッシュレス比率は29.7%となり、コロナ禍で民間最終消費支出が落ち込む中、成長を見せている。16年から17年が1.3%、17年から18年が2.8%、18年から19年が2.7%となり、19年から20年は2.9%伸びた。

国内では、「キャッシュレス・消費者還元事業」や「マイナポイント事業」などが行われ、消費者の関心はより高まっている。2020年のキャッシュレス決済比率の内訳は、クレジットが25.8%、デビットが0.75%、電子マネーが2.1%、QRコード決済が1.1%。いずれも前年より成長している。同数値からみても、クレジットカード決済がキャッシュレスの中心であることに変わりはないが、QRコード決済が2019年の0.31%から3倍以上の伸びとなるなど、各決済手段とも成長は続いている。

コロナ禍では、「非対面」、「非接触」というキーワードが挙げられている。全国スーパーマーケット協会の「2022年版 スーパーマーケット白書」の2021年の年次統計調査によると、決済手段の導入率はクレジットカードが90.5%、電子マネーが69.5%、QRコード決済が52.9%となっている。また、ポイントカード導入率は83.5%となった。顧客に利便性を提供する目的としてキャッシュレスは重要な手段だ。キャッシュレス決済の導入が拡大する一方で、中小の事業者にとって決済手数料の負担は課題となっている。特にキャッシュレス決済サービス「PayPay」が2021年10月から決済システム利用料を有料化し、店舗の集客に活用できる「PayPayマイストア ライトプラン」加入時は1.6%、未加入の場合は1.98%とした。スーパーマーケットの多くが手数料は課題であるとしながらも、感染防止対策、会計時間短縮、新規顧客獲得、売り上げの増加といった効果が期待できるとした。

また、日本フードサービス協会の2021年の外食産業市場動向によると、外食産業の全体の売上前年比は2020年が84.9%の15.1%減となり、1994年に調査を開始して以来最大の下げ幅となったが、2021年は前年比98.6%と厳しい状況が続く。その中でファストフードは、テイクアウト・デリバリーの需要に支えられ、2020年比4.8%増となっている。テイクアウトやデリバリーではキャッシュレス決済が用いられることも多く、市場の後押しに貢献している。

タッチ決済の利用が加速オンとオフの融合も

非接触技術として、モバイル決済の「Google Pay」や「Apple Pay」に加え、各種QRコード、クレジットカードやデビットカードを端末にかざすだけで支払いが可能な「EMVコンタクトレス(タッチ決済)」機能の導入が目立ってきた。「Apple Pay」は、イオンの「WAON」、セブン&アイ・ホールディングスのグループ傘下であるセブン・カードサービスの「nanaco」が2021年10月から対応を開始している。

また、コロナ禍でオンラインとオフラインの融合が注目を浴びた。特に、コロナ禍で大きなダメージを受けた飲食業界では、クレジットカードなどによりネットで商品を注文し、店舗では現金の受け渡しなく飲食が可能な「モバイルオーダー」サービスを導入する企業が増えている。数年前まではサービスを提供するベンダーも数社に限られていたが、参入企業は増え、レッドオーシャンの状態だ。大手の飲食チェーンでもスターバックス コーヒー ジャパンや日本マクドナルドがモバイルオーダーを展開しており、順次サービスを拡大している。さらに、小売店などでは、顧客が店員とのやり取りを避けることができる非接触レジ、商品を受け取るためのロッカーなども登場。飲食店では、顧客のスマートフォンからテーブルで注文を行い、飲食後はネット決済で会計を行うサービスも登場している。

さらに、スーパーマーケットでは、顧客の、あるいは店内に設置したスマートフォン、レジカートなどを活用し、商品登録から決済を行う仕組みも登場している。これにより、顧客は会計時にレジに並ぶことなく、スムーズな買い物体験を得ることができる。また、過去の購買情報などを活用し、それぞれの顧客に合った商品をレコメンドするといったことも可能だ。

すそ野が広がるクレジット決済汎用端末の活用も注目

ペイメントカードの支払い方法は、「クレジット(後払い)」、「デビット(即時払い)」、「プリペイド(前払い)」の3つの形態に分けられる。

クレジットカードは、国内のキャッシュレス決済としてもっとも利用が多い支払い手段だ。一般社団法人日本クレジット協会の「日本のクレジット統計」によると、2020年に国内のカード会社発行のクレジットカードで消費者がショッピングを行った金額は74兆4,576万円となった。コロナ禍の影響で、大きな伸びは見られなかったが、2019年の73兆4,311万円を上回っている。業種では、旅行や居酒屋、百貨店などの売り上げは大きな影響を受けたが、リアルではスーパーマーケットやドラッグストアなどの売上が伸びた。また、郵便局、東京都を管轄する警視庁における警察手数料等窓口など、これまでキャッシュレス決済が利用できなかったシーンでもクレジットカードの導入が広がっている。

なお、「キャッシュレス・消費者還元事業」では、モバイルPOSの導入など、これまでクレジットカードを導入してこなかった中小規模の店舗への導入も進んだと思われる。今後は、スマートフォンなどの汎用デバイスを決済の読み取り端末として利用できる新しいテクノロジーに注目が集まる。例えば、国際ブランドでは、Visaが「Tap to Phone」、Mastercardが「Tap on Phone」、JCBが「Tap on Mobile」としてサービスを展開している。汎用端末の活用により、カフェ、レストラン、キッチンカー、屋台、朝市など、さまざまな中小事業者でのキャッシュレス化が期待されている。海外では、Appleが米国時間の2022年2月8日、iPhoneで「Apple Pay」による支払いが可能な「Tap to Pay」サービスをアメリカで2022年後半に提供すると発表している。

さらに、多くのカード会社がスマートフォンでクレジットカードなどと紐づけて利用できる「Google Pay」や「Apple Pay」の利用促進にも力を入れている。電子マネーの「iD」「QUICPay/QUICPay+」については、日本のApple Payで同技術が採用された。

国際ブランドが提供する非接触決済サービスの動向をみると、American Express、JCB、Diners Club、Mastercard、Visaでは、かざすだけで支払いが可能な「EMVコンタクトレス(タッチ決済)」を提供している。国内でも主要なイシュアで搭載するケースが増えてきた。加盟店も大手スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど、利用シーンは広がっている。

さらに、日常利用の促進という意味では、交通機関への導入が1つの鍵になりそうだ。既存のシステムも含めた投資との兼ね合いになるが、キャッシュレス化を促進するサービスとしてタッチ決済やQRコード決済は注目されている。

発展途上のブランドデビット手数料1%を切るハウス電子マネー

ブランドデビットは、端末、与信システムなど、ペイメントカードの国際ブランドカードが運営するインフラをそのまま利用できるシステムだ。近年は、発行自体が落ち着いてきたが、2021年5月にはみんなの銀行がスマートフォン専用アプリを一般公開し、個人の利用者を対象とした口座開設受付を開始。そのデビット機能(Debit Card)は、口座開設と同時に国内で初めてフリクションレスで発行される年会費無料のJCBデビットのバーチャル機能を提供している。2021年10月には伊予銀行、2022年1月には山形銀行とやまぎんカードサービスがブランドデビットを発行している。ブランドデビットの市場規模は0.8%とまだ小さく、認知度も発展途上だ。

なお、ブランドデビットは以前、銀行にとって運用が課題となっていたが、クレジットカード会社が発行会社となり銀行と共同発行を行うケース、業務受託を行うケースも出てきている。それにより、課題も徐々に解消されてきている。

コロナ禍でも日本のキャッシュレス化は進行 決済サービスの動向を総まとめ

電子マネーやサーバ管理型のプリペイドカードは比較的少額の支払いで利用されることが多い。前述のように「WAON」「nanaco」がApple Payに対応したことで、より利便性が向上している。

JR東日本の「Suica」は、首都圏を中心に利用が広がっている。2021年9月16日に発行累計が2億枚に達した。青森県、岩手県、秋田県、山形県、群馬県といったエリアでは、地域連携ICカードの発行を開始し、地域独自サービスと、Suicaエリア等で利用可能な乗車券や電子マネー等のSuicaのサービスを、1枚のカードで利用可能とした。

サーバ管理型のプリペイドカード(ハウス電子マネー)は、オンライン上のサーバでバリューを管理しネットワーク経由でサーバにアクセスして、金額をチャージ(入金)する仕組みだ。近年では、大手だけではなく、地域のスーパー、専門店がポイントカードと合わせて自社電子マネーとして導入している。ハウス電子マネーは、1%弱と安価な手数料でキャッシュレスサービスを展開できるのが特徴だ。また、自社の販促にも有効活用できるため、店舗を繰り返し利用するリピーターの育成につなげることができる。店舗にとっては前受け金、退蔵益を期待できることも大きい。近年では、カード型に加え、スマートフォンにQR/バーコードを表示させることにより、モバイル会員を獲得する動きも目立つ。

国際ブランドのブランドプリペイドカードは、流通企業での導入はここ3~4年はやや落ち着いていたように見受けられるが、法人の経費の支払いや福利厚生サービスなどで活用されるケースも見られる。

プリペイドカードとして、「POSA(InComm’s Point of Sales Activation)」をはじめ、顧客のカード利用と同時にPOSレジや専用端末でカードに金銭的価値の付与、カード発行企業の販売網の構築、販促施策の実施などを行う「ギフトカードモール事業」はコンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店などで定着している。「Apple Gift Card」「Google Play ギフトカード」「Amazonギフト券」などが有名だ。

スーパーアプリ化が進む流通店舗独自のサービスも

QR/バーコード決済サービスは、クレジットカードとの紐づけ、前払いでのチャージ、銀行口座直結など、さまざまな運用が行われている。QR/バーコード決済サービスには、POSに接続したバーコードスキャナーやタブレットのカメラで利用者のQRコードやバーコードを読み取って支払いを行う「CPM(Consumer Presented Mode)方式」、QRコードを印刷したPOPをレジなどに設置し、利用者がそのQRコードを読み取ることで支払いを行う「MPM(Merchant Presented Mode)方式」に分けられる。CPM方式では、レジでコードを読み取ることにより、どの事業者のサービスか自動識別する運用が広がってきた。また、MPM方式は、中小加盟店が決済端末を設置しなくても簡易にサービスを導入できる。

QR/バーコード決済事業者として、PayPayが利用者、加盟店の拡大でリードしているといえる。PayPayは、2021年10月から中小加盟店向けの手数料有料化を行ったが、解約への影響は軽微であり、「PayPayマイストア ライトプラン」の利用店舗数は順調に拡大しているそうだ。携帯キャリアのNTTドコモの「d払い」は「dポイント」、KDDIの「au PAY」は「Ponta」を活用した販促を展開している。さらに、QRコード決済事業者が提供するアプリに、日常生活で利用するさまざまな機能、金融サービスを搭載した「スーパーアプリ」を掲げる企業も出てきている。

リクルートと、三菱UFJ銀行が共同出資するリクルートMUFGビジネスは、手数料0.99%の決済ブランド「COIN+」を提供しており、無印良品が導入している。

2021年11月に累計1,000万ダウンロードを突破したファミリーマートの「ファミペイ」をはじめ、パルコの「ポケパル払い」、ユニクロの「UNIQLO Pay」、三井不動産の「アプリde支払い機能」といった流通系の独自サービスもある。

銀行が展開するサービスとしては、GMOペイメントゲートウェイが「銀行Pay」の基盤システムを提供。同基盤システムをゆうちょ銀行、三井住友銀行、横浜銀行などが活用している。また、みずほフィナンシャルグループもみずほ銀行に加え、地方銀行預金口座と連携したスマホ決済サービス「J-Coin Pay」を展開している。

日本電子決済推進機構は、2019年10月に先行取扱いを開始した「Bank Pay(バンクペイ)」を本格的にスタートさせた。「UNIQLO Pay」「ASTARI」「TOYOTA Wallet」の決済機能としても採用されるなど、オリジナルアプリも支援している。

今後は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の5行による、多頻度小口決済のための新たな決済インフラの企画・運営会社であることらの動向にも注目が集まる。ことらでは、2022年度上期に個人間送金の取り扱いを予定している。

無人店舗や生体認証の動きに注目NFCタグの活用も進む

無人決済店舗など、決済に関連した技術開発も活発だ。代表的なのは、Amazonの「Amazon Go」だろう。無人決済店舗では、アプリを活用するタイプ、アプリレスで利用できるパターンがある。アプリの活用では、QRコード/バーコードや生体認証などを利用して店舗に入店。アプリにはクレジットカードなど支払いの情報を紐づける。入店後は店内に設置された複数のカメラ、重量センサーなどで来店客がどの商品を手に取ったかを把握し、店員と接触せずにそのまま店舗を出ることができる。同仕組みは、IT技術を活用しているため、システム上、防げない弱点も存在し、海外では無人決済店舗の穴を付いた盗難の被害も出ている。また、カメラや重量センサーといったシステム投資がかさみ、費用対効果を高める工夫も必要となる。国内では、アプリを活用した店舗は実験段階がほとんどだが、今後の普及が期待される。

TOUCH TO GOが展開する無人決済店舗はアプリレスで利用可能だ。同社の仕組みは前述の無人決済店舗同様にカメラや重量センサーを利用しているが、支払いは、利用者が出口付近の決済エリアに立つと、ディスプレイに購入商品と金額を表示し、クレジットカードや電子マネーなどで行う流れとなる。

2021年からは、生体認証を活用した取り組みが数多く行われている。特に、接触を防げる顔認証を活用した取り組みが進んでいる。東京ドームでは、2021年に関係者を対象とした顔認証による入場、および一般来場者を対象とした顔認証の決済についての実証実験を実施した。2022 年シーズンから、東京ドームの巨人戦における入場や場内飲食物販店舗での決済方法として、事前登録した顔画像による認証を一部の入場レーンおよび店舗にて本格導入する。大阪の観光地、道頓堀商店街では、2021年12月7日~26日まで、顔認証決済やAR技術活用の実証実験を行った。グローリーでは、新潟市の支援により、顔認証決済サービスを活用した実証実験を2022年1月15日~2月28日まで行った。ファーストキッチンでも顔認証決済サービスの実証実験を2021年12月15日~2022年2月28日まで実施した。顔認証決済は標準化に取り組む動きもみられるが、まだまだ実験の域を出ておらず、さまざまな決済シーンで共通して利用できる整備づくりも求められる。

次世代技術としては、NFCタグの活用も目立った1年だった。特に交通分野での動きはさらに活発になると思われる。JR東日本は、お台場レインボーバスでNFCタグを活用した乗車サービスの実証実験を実施。また、NFCタグの活用では、熊本、滋賀、徳島、福岡、和歌山などで実験に取り組む動きが見られる。NFCタグはQRコードに比べ、スマートフォンのアプリを立ち上げなくても直感的な操作でWebに誘導できるのが特徴だ。国内の決済関係者の中にもNFCタグを活用したサービスの普及に期待する声が多い。Webに誘導後、モバイル決済の「Google Pay」や「Apple Pay」と連携することで、シームレスな支払いまでの流れを構築できる。今後は、電子荷札にNFCタグが搭載されれば、Webへの誘導はもちろん、会員や時間帯などによって料金を変動させる「ダイナミックプライシング」などの動きも進むかもしれない。

そのほかの動きでは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の動きも見逃せない。日本銀行では、2021年3月から民間事業者も参加する連絡協議会を設置し、実証実験をスタート。CBDCは紙幣・硬貨に代わる第三の媒体の形態として世界的に注目されている。デジタル通貨フォーラムでも各分科会が概念検証(PoC)を行い、効果検証を行ったのち、商用化に移行していくという。

移動分野でのMaaS(Mobility as a Service)も注目だ。国内でもさまざまなMaaSサービスの実証実験が行われているが、予約・発券・決済をWebブラウザやアプリを利用して行ってもらうことで、地域での移動や支払いをスムーズにする取り組みとなっている。地域の乗合タクシー、路線バスといった移動サービスと既存公共交通の連携に加え、観光施設の予約、地域でのショッピングといった多様なサービスの提供によって地域のスマート化を図ることが可能だ。

交通分野では、前述のように「EMVコンタクトレス(タッチ決済)」の推進は注目分野となる。また、上田バスや北海道拓殖バスのようにQRコード決済を活用するケースも出てきている。さらに、イオン北海道では、2019年2月から全国で初めて、多区間運賃路線で「WAON」決済サービスを始めている。

グローバルで後払いに注目集まるコロナ禍でECサービスも多様化

巣ごもり消費で決済額が伸びているインターネット決済市場では、クレジットカードに加え、後払いの分野では「後払い(BNPL)」決済の導入企業が増えている。後払いは、利用者が実際に商品を受け取ってから支払いが可能な点、事業者が立替払いを行うためEC加盟店への入金が保証される点が特徴だ。クレジットカードを持たない、持てない若年層、20~30代の女性などが数多く利用している。

日本では、AGミライバライ、キャッチボール、GMOペイメントサービス、ジャックス・ペイメント・ソリューションズ、SCORE、ネットプロテクションズ、Paidy、ヤマトクレジットファイナンスといった事業者がサービスを展開している。さらに、メルペイ、PayPayやBASEの動向にも注目が集まる。同分野はグローバルで注目を集めており、PayPalが2021年9月7日にPaidyを3,000億円(約27億米ドル)で買収し、話題となった。

楽天、ヤフー、Amazon(アマゾン)、リクルートといったモールを展開する事業者では、ID決済を展開。数千万人のユーザーを有しているモールも多く、その会員をそのまま送客可能だ。さらに、大手キャリアが展開するキャリア決済は、デジタルコンテンツに加え、若年層を中心に物販での利用も伸びている。

今後は、飲食店における事前注文・支払いサービスの伸びに加え、OMO(Online Merges with Offline)、動画を利用したライブコマースの成長に注目だ。百貨店やショッピングセンター、アパレルでは、電話やテレビ電話、Web会議システムを使って顧客応対を行うなど、顧客接点の構築に向けて、さまざまな取り組みが行われている。また、3次元の仮想空間を活用した「メタバース」、非代替性トークン「NFT」の動向にも注目したい。

Tポイントの勢力は低下?販促を強化する共通ポイント

ポイントサービスでは、大手共通ポイントの「Tポイント」、「Ponta」、「楽天ポイント」、「dポイント」の動きが注目される。

新たな動きとして、2022年4月からZホールディングスとソフトバンクがTポイント利用・付与をPayPayボーナスに変更し、eコマースと金融事業のブランドをPayPayに統一する。キャリア系では、NTTドコモが独自の「dポイント」、KDDIは「Pontaポイント」を採用し、販促に有効活用されているが、Tポイント・ジャパンはTポイント提携社で核となるサービスの1つを失い、勢力低下は避けられないという声もある。

また、ポイントを活用した顧客の囲い込みに力を入れていた楽天でもポイント制度を見直す動きがある。

各共通ポイント事業者は顧客基盤が拡大する中、提携社との連携強化に向けて販促サービスを強化している。