「いけてない資料」はリスクに 営業資料の成果を可視化しチームの営業効率を高めるSales Doc (1/3)
「良い商談」がそのまま伝わる可能性は低い
――内田さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
新卒でイノベーションに入社しBtoBメディアのセールスを数年間担当したのち、ウェブマーケティングコンサルの事業責任者となりました。上場を目指すタイミングでは機関投資家向けのロードショーマテリアル*作成に注力し、その後新規事業の創出やMAツールの事業部長の役割を経て、2019年からは事業部門の子会社化に伴い Innovatino & Co.の取締役になりました。現在はMAツールと、セールス・イネーブルメントツール「Sales Doc」の事業責任者を担当しています。2010年の入社以来ずっとこの会社にいますが、任される役割はいろいろと変化し、転職を繰り返しているような気持ちです。
――Sales Docは営業資料の活用を重視するソリューションですが、ロードショーマテリアル作成の経験などから、資料の重要性を実感されるシーンもあったのでしょうか。
そうですね。商談でもIRでも同じことが言えるのですが、会話の中で伝えられることには限界があると考えています。優秀な営業担当者がいくら商談で良いトークをしても、それを聞いた顧客側の担当者が社内に持ち返ったときに、決裁者やチームメンバーに同じクオリティで情報を共有してくれるとは限りません。もちろんトークスキルを磨くことも重要ですが、そこに頼りすぎてしまうと、セールスプロセス全体において提案側がコントロールできる要素が少なくなってしまうんです。
それに対して、資料は顧客企業に残ります。資料の活用を最適化できていれば、顧客に届けたい情報をきちんと伝えることができるようになるわけですから、「営業資料=成果に直結するもの」として考えることが大切です。
とくに最近はリモートワークシフトが急速に進み、BtoBのマーケティング組織やセールス組織にとって、新規商談獲得のハードルが非常に高くなりました。テレアポで新規商談を獲得している会社もまだ多いなかで、そもそも電話をしてもつながらないとか、つながっても先方が会議中で話せないとか、「顧客のタイミングを掴めない」という悩みは増えていると思います。マーケティング施策でインバウンドを増やしている会社も同じで、せっかく問い合わせや資料請求の動きがあったのに、なぜか次のファネルに進めないという課題に直面する会社は多いようです。
――リモートワークならではの新たな課題も出てくるなかで、資料が重要な理由を改めて教えていただけますでしょうか。
大きくふたつあります。ひとつめは、商談を打診したときに「まずは資料をください」と必ず言われることです。とくにBtoBでは間違いなく言われます。そして買い手側はその資料を見て「そもそもこの会社は商談する価値のある会社なのか?」を判断します。
従来の営業プロセスでは、この部分がブラックボックス化してしまうことが課題のひとつでした。資料に対して反応をもらえた・もらえなかったという結果は追えても、最初に送った資料がきちんと買い手に刺さっていたかどうかを知る方法がなかったんです。本来であれば営業プロセスのひとつとして資料についてもPDCAを回す必要があるのに、資料が商談につながったのかどうかをチェックする「C」の部分に注力できている企業はほとんどありません。私も決裁者として提案資料を見る機会は多いですが、ほとんどが機能やサービス概要の説明ばかりで「導入することで享受できるメリット」を伝えてくれる資料は少なく、もったいないなと感じるのです。
ふたつめは、商談のオンライン化が進み、これまで以上に資料を見ている時間が増えているためです。どれだけ優秀な営業担当者でも、画面に映る顔はほんの小さなサイズですよね。紙の資料で商談を進めていた時代と比較して、いかに資料の見やすさや情報の見せ方で気持ちを掴めるかどうかが成果に直結するようになってきていると思います。「いけてない資料を送ってくる会社」という印象を与えてしまうことが、これまで以上にリスクになってくる時代です。
一方で、自分たちの感覚だけで資料を軌道修正していくのが難しいのも事実です。欧米ではすでに営業部門が使うコンテンツを管理するプロダクトが普及し、それによって成果を上げていく概念も一般的なものになっていますが、日本ではまだその概念があまり知られていません。営業資料やコンテンツを軸に営業活動を最適化できるという考えを日本でも広め、その市場をつくりたいと思って提供しているのがSales Docです。