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May

【モバイルバッテリーの“より良い”捨て方】芸人で現役ごみ清掃員のマシンガンズ滝沢さんが解説! ランキング 新着記事

モバイルバッテリーのより良い捨て方は?マシンガンズ滝沢さんに聞く

毎日何かと出てしまう「ごみ」。いざ捨てようとなったときに「分別は?」「どう捨てたらいいの?」と疑問に思うことはないだろうか。

この記事では、芸人であり現役のごみ清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんに、家庭ごみを中心に「どうやって捨てるんだろう?」と疑問に思ってしまうものの捨て方を解説してもらう!

家庭ごみの「より良い捨て方」を知るためのポイントは大きく3つ

  1. 住んでいる自治体の分別のルールにあった分別を「自治体によって処理の仕方が違います。捨て方を間違えると事故の原因や税金の無駄遣いになることもあるので、必ず確認してください」
  2. リサイクルできるものはリサイクルに「ごみとして出してしまうと処理だけでもお金がかかります。しかし資源として出せば、価値のあるものに変わります。みなさんの気持ちひとつでごみになるか資源になるかが決まりますよ」
  3. 収集する清掃員の方にやさしい捨て方を「ごみは出して終わりではなく、その先に必ず誰かが回収してくれています。皆さん、よりよい捨て方に協力してくれると嬉しいです!」

次の収集日から、あなたも「より良い捨て方」でごみを捨てよう。

マシンガンズ滝沢秀一

1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。東京成徳大学在学中の1998年、西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」で認定漫才師に選ばれるなどコンビとしての実績をあげている中、2012年、妻の妊娠を機に、ごみ収集会社で働きはじめる。ごみ収集の体験をもとにSNSや執筆、講演会などで発信している。Twitter

前回の記事はこちら!

取扱い注意!「モバイルバッテリー」の捨て方を解説!

「スマホの充電がすぐ切れる」「防災のために」など、常備している人も多いであろうモバイルバッテリー。コンセントがない場所でもスマホなどの充電ができる便利グッズだが、滝沢さん曰く「最も捨て方に注意してほしいごみのひとつ」だそう。

捨てる際に注意が必要なのは、モバイルバッテリーをはじめさまざまな製品に使用されているリチウムイオン電池が入っているから。注意点を正しく理解して、よりよい捨て方をマスターしよう!

モバイルバッテリーの捨て方、ポイントはこちら。

「今、この現代で一番厄介なごみは何かと言えば、このモバイルバッテリー。いや、モバイルバッテリーというよりもリチウムイオン電池を使っている商品全て。これは清掃員泣かせなのよ」

モバイルバッテリーのより良い捨て方を教えていただきつつ、リチウムイオン電池が使われている製品を捨てる時の注意点も確認していこう!

モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を使った製品の「捨て方」に注意!

リチウムイオン電池を使った製品はたくさんあり、その代表的な製品の一つがモバイルバッテリーだ。乾電池を使用しているモバイルバッテリーも時々あるが、多くはリチウムイオン電池が使用されている。

リチウムイオン「電池」が使われているということで、これまでモバイルバッテリーを捨てる際、なんとなく「不燃ごみ」に捨てていたという人も多いのではないだろうか。

「このタイプのものは、不用意に不燃ゴミで捨てずに、リチウムイオン電池を使用したものではないか一度確認した上で、ゴミパンフレット等を見てみてください。厄介なところは、まだ一部の自治体しか回収システムができていないところです。不燃ごみにも入れないでくださいと言っている自治体が少なくありません

例えば東京都・世田谷区のサイトには、リチウムイオン電池などの充電式電池は「収集できない」「リサイクルボックスにも入れないで」と強調して記載されている。ぜひ各自治体の案内を確認してほしい。

「区役所や市役所などに置いてある回収(リサイクル)ボックスに入れる拠点回収(※)、清掃事務所で手渡しする、もしくは大型量販店に持っていくという少し面倒な捨て方になってしまう自治体がほとんどです。中にはリチウムイオン電池のものだけを集めて、リチウムイオンと書いて集積所に置けば持って行ってくれる地域もあるらしいが、事前に確認してください)」

【モバイルバッテリーの“より良い”捨て方】芸人で現役ごみ清掃員のマシンガンズ滝沢さんが解説! ランキング 新着記事

※世田谷区のように、回収ボックスで収集していない自治体もあります。清掃事務所への持ち込みなども含めて、事前に対応しているか確認してください

リサイクルボックスを探してみよう

リチウムイオン電池を使用しているモバイルバッテリーを捨てる時には、まずはリサイクルボックスを探す必要がある。ひとくちに「リサイクルボックス」といっても、提供している団体によってさまざまな種類がある。市区町村が対応していない場合は、どのようにすればよいのだろうか。

一つの方法は、リチウムイオン電池などのリサイクルに取り組む一般社団法人JBRCの「『リサイクルBOX缶』協力店・協力自治体検索」から確認すること。ここには全国で2万箇所の回収拠点が登録されている。お住まいの自治体が回収に対応していない場合でも、個人の電器店などが協力店として登録されている場合があるので、住んでいる地域から検索してみよう。

ただしこちらの「リサイクルBOX缶」は(外国製など)JBRCの会員ではない企業のリチウムイオン電池や、リチウムイオン電池が取り出せない製品は回収していない。これらの廃棄方法については、製品の製造・販売元、または市区町村へ改めて確認する必要があるので注意しよう。

また、持ち込む際はリサイクルボックスに投げ入れたり、レジなどに黙って置いていくのは絶対にやめよう。掲示されている注意書きやお店・施設の方の案内に従って預けてほしい。

※リチウムイオン電池を取り出そうと、その製品が推奨していない方法で分解するなどの行為は危険です。取り出せるか不明な場合は製造・販売元に確認するなど、捨てる際も正しい使用法を守りましょう

参照:「協力店・協力自治体検索」(JBRC)https://www.jbrc.com/general/recycle_kensaku/

リチウムイオン電池が使われている製品は日常にあふれている

「例をあげればキリがないんだが、USBなどで充電するタイプのものはほぼリチウムイオン電池が使われていると考えてもいいと思います」

滝沢さんが例にあげてくれたものだけでも下記のとおり。

家の中を見回してみても、驚くほどたくさんの製品に使われている。その中には、リチウムイオン電池(電池パック)を取り出すことができる製品と取り出すことができない製品があるのだが、いずれも意識せずにごみ回収に出してしまうととても危険だ。モバイルバッテリーに限らず、リチウムイオン電池を使用している製品を捨てる際はこの記事を参考にしてほしい。

モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池の捨て方に注意が必要な理由は?

「何故、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池がこれほど厄介なのかというと、数ある家庭ごみの中でも、最も危険度が高いごみのひとつだからである」

電池の中でも、リチウムイオン電池のように繰り返し使用できるものは「二次電池」に分類される。(一方、乾電池など使い切りタイプのものが一次電池)リチウムイオン電池は、電気製品の小型・軽量化に伴いさまざまな製品に使われてきた。小さな電池の中に何回もスマホを充電できる大きなパワーがあることを考えれば、取扱いに注意が必要なのもわかるだろう。

リチウムイオン電池の取扱いの注意点については電池工業会のサイトをぜひチェックしてほしいのだが、特に気を付けなければならないのが「圧力に弱い」ことだ。これはごみとして捨てる場合だけではなく、日常的な使用に際しても知っておきたいポイントだろう。

「年末年始や引越しシーズンはこれが原因で清掃車火災が数多く発生している。その瞬間に火が出なくても、衝撃を受けた30分後に急に火が出ることもあるので、油断できない。清掃車火災だけではなく、回収した後に処理をするリサイクルセンターでも処理中に火災事故になるという事例が多発している」

ごみの収集の際は、集めたごみを重ねて保管したり、清掃車の回転板で袋をつぶしたりするため、圧力がかかった電池が発火して火事になってしまう例が多発しているという。そのため、先ほどの世田谷区の案内のように、ほかのごみに比べて回収に対応している自治体が少ないのだ。

「なんとなく不燃ごみでいいでしょ?というその”つい”が多くの人を危険にさらしているので、ご注意いただけると嬉しいです」

参照:リチウムイオン二次電池の安全で正しい使い方(電池工業会)https://www.baj.or.jp/battery/safety/safety16.html

リチウムイオン電池はリサイクルすべし!

モバイルバッテリーをはじめとするリチウムイオン電池使用製品は、きちんとした手順で回収に回すことで、安全に取り扱うことができるうえ、リサイクルにつなげることもできる。希少な金属などが使用されているリチウムイオン電池をまた資源として活用するためにも、この記事で紹介する、より良い捨て方を実践しよう。

電池の安全な利用やリサイクルの推進などを行っている電池工業会では、廃棄するときに困らないよう、リチウムイオン電池使用製品の購入時に下記をチェックすることを薦めている。今持っている製品や、これから購入する製品の表示をぜひ確認してみてほしい。

大切なのは、捨てようとしているごみが「何か」をちゃんと知ること

「僕も何度か可燃ごみからモバイルバッテリーを抜き出したことがあります。気持ちは少しだけわかります。何故かというとそのモバイルバッテリーの表面はプラスチック素材だったので『プラスチックなら可燃だろう』という感じで捨てたのだと思います」

ごみは、手が離れた瞬間から自分の責任も離れたように感じてしまうかもしれないが、それは確実にあなたの出したごみだ。「なんとなく」捨ててしまうだけで誰かが怪我をしたり、大きな事故につながってしまうことがある。

この連載でも繰り返しお伝えしているが、ごみを捨てるときも誰かに手渡すような気持ちで、回収された先のことをイメージしてみよう。

「ごみを捨てるときのポイントとして、素材を見ることも大切なのですが、この商品は『何か』ということを再確認してどのように捨てるかを調べていただけると清掃員としてはとても助かります。『地域名 ごみ 〇〇』で、今回でいうとこの〇〇にモバイルバッテリーなど捨てたいものを入れて検索してくれると必ず出てきますので、お手間でしょうが、調べていただけると嬉しいです」

以前のスプレー缶の捨て方や包丁の捨て方の記事でも解説したとおり、その他の家庭ごみにもさまざまな注意点がある。

「スプレー缶、包丁やアイスピックなど先端の尖ったもの、そしてこのモバイルバッテリーのようなリチウムイオン電池、ここら辺が最も危険なごみなので、これだけでも覚えていただけると嬉しいです。僕らは不燃中継所という所で、収集所から集めた不燃ごみをひとつひとつ手で開けて見ています。集められた不燃ごみを開ける理由は、モバイルバッテリーやスプレー缶が混じっていると清掃車火災になるので、それを未然に防ぐためです。僕らはそれほどの危険物として扱っているので、皆さんもこれを読んでどれほど危険なのかを知っていただき、ご協力いただけると助かります」

電池の取り扱いについては、今回引用している専門団体のサイトにさまざまな案内が掲載されている。「小学校の時に教わったよ」という人もいると思うが、時代とともに変わっていることもたくさんあるので、ぜひ一度チェックしてみてほしい。

滝沢さん、ありがとうございました!次回もお楽しみに。

マシンガンズ滝沢秀一

1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。東京成徳大学在学中の1998年、西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」で認定漫才師に選ばれるなどコンビとしての実績をあげている中、2012年、妻の妊娠を機に、ごみ収集会社で働きはじめる。ごみ収集の体験をもとにSNSや執筆、講演会などで発信している。2018年、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)を上梓したあと、漫画『ゴミ清掃員の日常」(講談社)、『ごみ育』(太田出版)などを出版。2020年10月、環境省『サステナビリティ広報大使』に就任。同12月、消費者庁『食品ロス削減推進大賞』の委員長賞を受賞。Twitter

編集・構成:CHINTAI編集部サイト引用協力:一般社団法人JBRC、一般社団法人電池工業会

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