Dyson Cyclone V10レビュー:ついにコードあり掃除機の代わりとなるか
フル充電で最長1時間。来たか…!
先日Dyson(ダイソン)のファウンダー、ジェームス・ダイソンは、「今後コード付き掃除機の開発はしない」と発言しました。その理由としてダイソンが紹介したのが、最新コードレス掃除機・Cyclone V10です。DysonによればCyclone V10はモーターがアップグレードされて吸引力が高く、充電1回あたりの使用可能時間も長くなっています。
そうは言っても、バッテリー式のコードレス掃除機がコード付き掃除機の後を埋められるんでしょうか? 僕自身の経験から言えば、それは可能です。そして最新のCyclone V10に関しては、多少の問題はあったものの、あまりに素晴らしくて、ついにDysonのプレミアム価格も妥当と思えるほどかもしれません。
・Cyclone V10とは?:コードあり掃除機に取って代わる、とされる充電式コードレス掃除機
・価格:500〜700ドル(約5万3000〜7万5000円)、付属アクセサリにより変動
・好きなところ:巨大な豪邸住まいじゃない限り、コードあり掃除機の代わりになります。
・好きじゃないところ:パワーMaxにすると10分も使えません。
僕は床がきれいじゃないと気持ち悪いので、5〜6年前だったら、何時間でも吸い込み続けるDysonのコードあり掃除機を手放すなんて考えなかったと思います。でも充電式のDyson DC59を買ってからは、それがコードあり掃除機の代わりになりつつありました。そして2年前にCyclone V10の前モデル・Dyson V8を手に入れてからは、コードあり掃除機はクローゼットにしまいっぱなしになってしまいました。
もし巨大な豪邸に住んでいて部屋が何十とあるなら、または掃除に丸1日かかるほどゴミがたまっても平気な人には、コードレス掃除機はオススメできません。でもコードとか重い機械を引き回すのが嫌いで、部屋が汚れる度に掃除する無限ループに耐えられる人なら、Cyclone V10におけるDysonの進化はコードあり掃除機からの解放を意味するかもしれません。
Cyclone V10は、Dysonのコードレス掃除機としては数年ぶりにいろいろリデザインされました。Dysonによれば、心臓部のモーター・V10の回転数は毎分12万5000回に及ぶそうです。それがどれくらい速いかっていうと、回転するパーツにかかるGが強すぎて従来の素材では壊れてしまうので、より頑丈なセラミックに変更しなきゃいけないほどだったそうです。
その素晴らしい技術がどこにどう役立つかっていうと、とにかく吸引力がすごいんです。たしかに実際試してみて感じました。テストでは、ホコリや土はもちろん、融雪用の粗塩のかたまりだってぐんぐん吸い込んでいきました。ダイレクトドライブクリーナーヘッドもリデザインされていて、大きめのゴミを吸い込めるよう前方に大きさを調節できる開口部があります。なので従来はヘッドに入っていかずに押してるだけになってイライラの元だったシリアルみたいなものも、Cyclone V10だと簡単に吸い込めます。
Cyclone V10はコードあり掃除機を完全に代替することを目指しているので、ゴミ格納部の容量は従来モデルより40%増量しています。Dysonの過去のフルサイズ掃除機に比べれば小さいですが、ゴミ捨てが簡単なので、より頻繁にゴミを捨てることになってもそんなに負担じゃないと思われます。
Cyclone V10のゴミ格納部は方向が変わって、ゴミを捨てやすくなりました。たしかに以前に比べて、ゴミ出しのときに中身をまき散らさずに済みましたが、捨てた後、今までなかったロックをかける仕組みになったことに注意です。僕はそれを忘れていて、思わぬところでゴミ格納部がパカっと開いてしまうトラブルがありました。
レバーをロックし忘れると、ゴミ格納部が突然開いてきます。
3つのパワー設定。MAXだとバッテリーを大量消費します。
調整可能な開口部があるCyclone V10のヘッド(左)と、大きいゴミを吸い込まなかったV8のヘッド(右)です。
詰まりをお知らせする機能も追加されました。
V8で導入された、ゴミ格納部内のスクレーパー。フィルターを毎回こそげてきっちりきれいにします。
充電ポートも改善されました。電気ショック(V8では問題だった)も少なくなるはずです。
Cyclone V10には、他にもいろんな改善点があります。たとえばときどき洗う(のを忘れる)フィルターがふたつからひとつになったとか、バッテリー残量をより正確に知らせてくれるパワーメーターとか、大きすぎるものを吸い込んだときに詰まりを通知する機能とか、3段階に調節できてバッテリーを有効利用できるパワー設定とか、です。
ただパワー設定に関しては、人によっては良い面も悪い面もあると思われます。Cyclone V10にはたしかに素晴らしい、お金のかかったテクノロジーが詰まっていますが、Dysonの研究開発部門が克服しきれなかった課題のひとつはバッテリーです。DysonいわくCyclone V10では1回の充電で1時間使えるそうで、たしかに先代のCyclone V8に比べれば20分延びているんですが、それは最低のパワー設定で、電力不要のアクセサリを使って、最低限のゴミしか吸い込まなかった場合なんです。
実際僕がテストしてみると、Cyclone V10のバッテリーライフは、使い方によっては間違いなくもっと短くなっていました。ゴミが詰まったカーペットを掃除するときは、ダイレクトドライブアタッチメントを付けて、パワーMAXで吸引したんですが、それだとたった8分間でフル充電からゼロになってしまいました。
でもカーペットがそんなに汚れてなければ、Cyclone V10の最低パワー設定(それでもゴミ格納部は15分くらいでいっぱいになります)なら37分間使えました。
バッテリーライフは、Cyclone V10のヘッドの回転ブラシへの抵抗が少ないフローリングの掃除のときには持ちがよくなりました。MAX設定でもフル充電で9分ちょっと使えましたし、最低パワーでは52分間も持ちました。それでも1時間には達しませんが、これまでのモデルよりはたしかに長くなっています。
Cyclone V10によってついに、コードレスオンリーでOKな時代になったんでしょうか? Cyclone V10の制約に耐えられる人にとっては、その答えはイエスです。月1回1日中掃除する、みたいな掃除スタイルは不可能になりますが、Cyclone V10は従来のコードあり掃除機より軽くて使いやすいので、自然に頻繁に使うようになり、汚れがたまり過ぎる前に先手を打てるようになるでしょう。
僕自身上に書いたように、Dysonのコードレス掃除機がコードあり掃除機に取って代わるようになりました。Cyclone V10があれば、その切り替えはもっと簡単になることでしょう。Cyclone V10が適しているのはアパートとかマンションとか小さめの一戸建てでフローリング中心の家ですが、巨大な家に住んでるからって全然使えないわけじゃありません。Dysonのお値段(Cyclone V10は付属のアクセサリ次第で500〜700ドル≒5万3000〜7万5000円)でもいいやと思えるなら、コードなしにできる利便性は、バッテリーが永遠ではないことの不便さを十分補えるはずです。
まとめ
・家が大豪邸じゃなくて、掃除の習慣を変える気があるなら、Cyclone V10はコードあり掃除機の代わりになりえます。
・バッテリーライフはCyclone V10の最大の弱点です。MAX設定でカーペットを掃除すると8分しか持ちません。フローリングでパワー設定を弱くすれば、もっと長く使えます。
・お高いです! ベースモデルが500ドル(約5万3000円)です。
・充電中は使えないので、バッテリーが切れたら充電できるまで3時間半待たなきゃいけません。
・ゴミ格納部の方向が変わって、エルゴノミクス的に使いやすくなりました。ゴミ容量も先代のV8より40%増量しています。
・ゴミ格納部のリデザインで、ゴミ捨てがより簡単に。フィルターもひとつになりました。
・MAX設定での吸引力は素晴らしく、カーペットだと動かすのが大変なくらい強い力です。
Image: Andrew Liszewski / Gizmodo USAndrew Liszewski - Gizmodo US[原文](福田ミホ)