もう普通のサウナには戻れない! ドゥーパ編集長自らが建てたサウナ小屋が最高すぎて、人生観が変わってしまった話
サウナに関連するドラマや出版物、カルチャーが注目を集める中、サウナビルダー(サウナをDIYする人)が増えていることをご存知でしょうか? しかも9月30日に発売された『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』は、発売早々Amazonで在庫切れ状態に……。めっちゃ人気じゃないか!
でも、サウナって自分で建てられるものなの? DIYしたサウナのクオリティとは……? たくさんの疑問を抱えながら、『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』を制作したドゥーパ編集長の設楽 敦さんにお話を伺いました。
【フォトギャラリー】
サウナはもっと自由だ!
まず『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』についてご紹介しましょう。本書の冒頭には、こんなメッセージが綴られています。
もちろん僕もみんなと同じく温浴施設は大好きだ。でも、いつの間にか耳にするようになった「週に何回サウナに通っている」なんてマウントや「水風呂の温度は何度以下じゃないとダメ」とか、「ととのった」とか「ととのわない」とか……そんな話はもうたくさん! サウナって、そんな窮屈な思いをするためのものだっけ?
(『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』より引用)
もしかしたら昨今のサウナブームに対して、同じような思いを抱えている人もいるのではないでしょうか? でも、安心してください! 『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』に登場する人たちは、昨今のサウナブームの一歩も二歩も先を行く、オンリーワンなサウナライフを楽しんでいます。
他にも廃材を使い、たった15万円でサウナ小屋を完成させた方や、軽トラックの荷台を活用し移動式サウナをDIYした方など、どのサウナビルダーも楽しそうな人ばかり! 最近では、アウトドア人気から自ら山を購入し、自分だけのキャンプベースを作る人も増えていますが、小川の近くにサウナ小屋を作ることができたら……めちゃくちゃ贅沢な空間になりますよね。
『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』には、他にもDIYでテントサウナを極める方法や、シラカバを使ったフレッシュヴィヒタの作り方、個性が光るサウナハットの作り方まで、一冊あれば作りたいサウナのヒントを得られること間違いなし。温浴施設のサウナから一歩飛び出したい人、必見ですよー!
【DIYサウナの注意点】
火事に注意!→ 薪ストーブの直置きは小屋が燃えてしまうので、絶対NG。薪ストーブ設置箇所には不燃性の材料で炉壁、炉壁を必ず作ること。
一酸化炭素中毒に注意!→ 開閉可能な窓や給排気口を設置するなど「換気できる場所」を必ず作ろう。中毒を防ぐ警報機は、熱によって壊れてしまう可能性があるので注意が必要だ。
排煙に注意!→ ストーブ燃焼時は煙が出るので、近隣住居など周囲への心配りを忘れずに。厳格なルールはないが、心からサウナを楽しむためにもマナーはしっかりと。
建設中の事故に注意!→ 工具の取り扱いなどは慎重に。安全に楽しくDIYしよう。
37万円でできた! ドゥーパ編集長自らが作り上げたサウナ小屋とは?
ここからは、『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』の編集・制作を担当されただけでなく、ご自身でサウナ小屋まで建ててしまったドゥーパの編集長の設楽 敦さんにお話を伺います。
——今日はよろしくお願いします! まず設楽さんのサウナ歴を教えてください!
「下町育ちなので小さいころから銭湯に通っていました。サウナも銭湯にあれば入る……くらいの身近な存在だったので、いつから? と聞かれると、正直覚えていないですね(笑)。ただハマったきっかけでいうと、4年ほど前に錦糸町にある『楽天地スパ』で、熱波師の五塔熱子さんのアウフグース(ロウリュで立ち上った水蒸気をタオルであおぎ熱波を送ること)を初体験したのですが、それがもう衝撃的で。ライブ会場に来たかのような異様な一体感で、めちゃくちゃ面白かったんです」
——初体験が大当たりだったわけですね! でもそこから「DIYでサウナを作る」に至る道のりはだいぶ遠いような気が……。
「DIY雑誌『ドゥーパ』を14年近く担当しているので、趣味小屋を建てるっていう企画はよくやっているし、実は以前にサウナ小屋も作ったことがあったんです。ここまで本格的じゃなかったですけどね。だから、俺でもサウナ小屋を作れるなという考えはすぐ出てきましたね」
——『俺でもサウナ小屋、作れるな』って、かっこよすぎます……!
「この仕事をやっていると、たいていの物は作れるような気がしてくるんですよ(笑)。このサウナ小屋の設計図も僕が作りましたし、プロの大工さんと仲間を集めて、総費用37万円くらいでできましたから」
——改めて聞くとこじゃないですけど……設楽さんって、大工さんや建築家じゃなくて編集者ですよね?
「そうです(笑)。先日出版した『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』もサウナ小屋6件、テントサウナ1件取材させてもらって、それぞれのオーナーさんのこだわりや工夫のポイントをお伺いしているんです。こういった取材で得た知識があるからこそ、自分でサウナ小屋を作れるんです」
——なるほど。最近はサウナ小屋を作る人が増えているのでしょうか?
「今まさに、黎明期です。DIYサウナ小屋の前例がまだ少ないので、自分たちで工夫して作るしかありません。だからどのサウナ小屋もインディーズ精神に溢れていて、ピュアでかっこいい! 心からサウナが好きな人しか作っていないので、こだわりぬいたサウナ小屋しかないんですよ。これまでの温浴施設サウナや昨今のサウナブームにある種、飽きてしまった人たちがネクストレベルを目指してたどり着いたのがサウナビルダーなんだと思います。本当、今が一番面白い時ですよ」
——DIYサウナの魅力ってどんなところにありますか?
「5月に完成して10回くらい使っていますが、使うごとにサウナ小屋と仲良くなっている感覚があります。どれくらい薪を燃やしたらいいか、ベストな温度になる時間はどれくらいかとか、小屋のクセを少しずつ把握していく感じ。それが愛おしくもあり、魅力だと思います。あと自分で作ったので、ちょっと壊れても直せるのがDIYならではですよね」
——あとこの空間、大自然の中でサウナできる! というのも最高でしょうね〜。
「そうですね。屋根のない場所で外気浴すると、自然との一体感みたいな、鳥のさえずり、木々の葉が擦れる音とか心地よく聞こえますから。あと最近では、いろんな人に『俺のサウナに入ってくれ!』って思う気持ちが溢れ出ちゃって(笑)。サウナって本当に不思議で、初めましての人ともサウナを通じて仲良くなれちゃうんですよ。同じ感覚を味わえるし、コミュニケーションツールとしての役割もあると思います」
——お恥ずかしながら、私「ととのった」ことがなくてですね。銭湯のサウナでも、サウナの後、シャワー浴びて出ちゃうんです。
「え、水風呂に入ってないんですか? この自然の中で『ととのい』を経験したら戻れなくなると思いますよ(笑)。今までのサウナの使い方を例えるなら、麺のないラーメン食べているような状態なので、ぜひ麺の部分を僕のサウナ小屋で体験していってください!」
こだわりがつまったサウナ小屋を体験!
今まで、ラーメンの汁だけで満足していた私……。麺までちゃんと食べて、人生初「ととのい」なるか!? こだわりを教えていただきながら、設楽さんのサウナ小屋を体験させてもらいました。
まずは入り口。「茶室に入るような、非日常へと誘う雰囲気」を出したいと、あえて低めの1500mmの高さに調整したそう。自分の好きな高さに調整できるのもDIYならではですね。
サウナ小屋の内部は、窓から優しい木漏れ日が入り込んでくるちょうどいい明るさ。あえて照明設備を取り付けず、薄暗くなるように設計されています。今回は日中の取材でしたが、夕方になると薪ストーブの火を眺めながら、最高な雰囲気になりそう!
外から見るよりもサウナ内は広々としていて、6人も入れるのだとか。下段の腰掛けと、上段にはL字に腰掛けがあり、上段と下段に座ることで6人入ってもゆったりと過ごせます。さらに上段部分は取り外しができるので、掃除もしやすく、壊れてもすぐに交換できるのだとか。
入り口から右側に設置された給排気口。最初は「せっかくの熱い空気が逃げてしまうのでは?」と思っていたそうですが、そんな心配もなんのその! 室内は100度近くまで熱くなります。
さぁ、お待ちかね! 薪ストーブに薪を入れ、「火入れ」します。
しばらくするとモクモクとえんとつから煙が。たまに薪を追加しながら、好みの温度になるまで待つと、1時間ほどでちょうどいい温度になるそうです。
程よい温度になったよ〜ということで、サウナハットをお借りし、いざサウナ体験!
小さな入り口をくぐって入ると、小屋の中は木材のいい香りが充満。これだけでもリラックス効果抜群です! 「やっぱり施設のサウナの方が温度高いでしょ?」なんて思っていましたが、同等いやそれ以上に熱かったので3分ほどでじわり……と、体の表面に汗が滲むようになってきました。
すると、アロマオイルを混ぜた水を、柄杓でサウナストーンにジュージューとかけ始めた設楽さん。そう、これが「ロウリュ」です! 先ほどまで木材のいい香りだったサウナ内には、あま〜いアロマの香りが水蒸気とともに広がっていきました。
さらに! 「じゃあそこにうつ伏せに」と促されるままうつ伏せになると……今度は白樺の束「ヴィヒタ」を使いビシバシと私の体を叩き始めたではないですか!
初めてのことに最初は驚きましたが、慣れてくると体の中の悪いものが出ていく感じで超気持ちいい〜(血行が良くなっている気もする!)。白樺の良い香りとミネラルがお肌にもいいらしいですよ♪
それから5分ほどでしょうか……「設楽さん、そろそろ熱いです」と外に出ることに。
汗を流し、ここまでが「ラーメンの汁」部分です。今までの私はここで終わっていました。
いざ、麺の部分になる「水風呂」へ……。最初は心臓もバクバクしてしまい、本当に大丈夫ですか!? とギャーギャー言っていたのですが、ある瞬間から何かが目覚めます。
ほんの5秒くらいで水風呂には慣れ、羽衣のような膜が肌の周りにできてくるのを実感! 「この水風呂のために、サウナに入るんだよ〜」という設楽さんの言葉をこの瞬間理解できました。なんだよ〜水風呂ってめちゃくちゃ気持ちいいじゃないかー!!!
水風呂を出たら、体を拭き、外気浴。小屋のとなりにあるアウトドアチェアに腰掛け、「目を閉じてゆっくりしていて〜」という設楽さんの声に体を委ねていると、ありがたいお水が頭の上から注がれました。
気持ち良すぎて「ハッハハッハ」と、自分の意識とは別のところで体が勝手に笑い出す! 何かがととのっている、こうして人生初の「ととのい」を体験することができました。ありがとう、設楽さん! もう私は戻れない道を歩み始めてしまったような気がします!!
自由で楽しいサウナビルダーの魅力がつまった『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』
最初は「DIYでサウナ作るなんてハードルが高いのでは?」と思っていたのですが、取材と体験を通じて素人ながらにも“自分のサウナ小屋”を作りたくなる気持ちが、よく分かりました。
「ととのい」を経験した上で、改めて『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』を読み返してみると、面白さが全然違う! 取材前に読んでいた時には、「すごい人がいるな〜」という手の届かない存在のように感じていましたが、今は「うらやましいな〜」とサウナビルダーへの憧れが強くなりました。
これまで数々の「ととのい」を経験してきた方なら『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』の面白さを存分に味わえるはずです。また本誌の中では、こだわりのサウナ小屋の説明に加えて「サ飯」というサウナのあとに食べたい、ステーキや餃子といったガツン系ご飯が紹介されています。これを見ていると体がうずくんですよね……! あぁ〜サウナ入りたい!! そして美味しい「サ飯」も食べたい!!
100人いれば100通りのサウナの楽しみ方があるはず。色々なルールに縛られるのではなく、自分だけの究極のサウナを作って楽しむことができれば、もっと人生も整うはず! いつかサウナをDIYしたい方、サウナの新しい楽しみ方を見つけたい方、サウナが好きでたまらない方にぜひ読んでいただきたい一冊です。
【書籍紹介】
著者:ドゥーパ!編集部発行:ワン・パブリッシング
近年人気が高まり、ますますその勢いを増しているサウナ。「ととのう」や「ロウリュ」などサウナ用語が一般に認知されるほど世間に浸透してきたサウナですが、そのネクストフェーズはずばりDIYで作るホームサウナ! 本書ではさまざまな手作りサウナの実例から具体的な製作方法の紹介をはじめ、テントサウナのカスタムや、サウナハットやヴィヒタやといったサウナツールの製作方法も紹介。DIYサウナで自分だけの特別なととのい時間を手に入れよう!
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