成功を阻む心のハードル 克服のための4つの戦略
自分の思い通りになっているときに楽観的になることは簡単だが、成功の秘訣(ひけつ)は自分と目標の間に障壁が現れたときでも前向きな姿勢を維持することだ。起業家で投資家のキム・ペレルは、成功に至るまでにそれなりの挫折を経験した。23歳で破産状態にあったペレルは自宅のキッチンテーブルで起業し、会社は最終的に2億3500万ドル(約270億円)で売却された。彼女はこれまで、小企業や起業に対する情熱から100社以上のスタートアップに投資してきた。私はペレルを取材し、彼女の新著『Jump: Dare to Do What Scares You in Business and Life(ジャンプ ビジネスと人生の中で怖いものをあえて実行する)』について、深く掘り下げて話を聞いた。ここでは私がペレルと議論した、アイデアをビジネスに変え、避けられない問題や障壁、否定者、批判者から前進を阻まれても取り組みを続けるのに必要な強さを身に付ける4つの精神的な戦略を紹介する。■1. 自分自身に前向きなことを言い聞かせるペレルは「楽観主義かどうかは選べるもの」と述べ「楽観主義は、物事がどのように悪い状況になってもうまく行くという考えだ。私は破産によりどん底に落ちたが、自分を信じていた」と続けた。私たちは、自分に起きることを常に制御することはできない。新型コロナウイルスによるさまざまな活動の停止がその例だ。それでも、1日中自分に語りかけている自分の頭の中の声は制御できる。私は今年、『Chatter(チャッター)』を執筆したイーサン・クロス博士を取材した。チャッター(おしゃべり)とは、私たちの脳に絶え間なくネガティブな考えを送り込むもので、容赦ない自己批判であり、きちんと監視されなければその人のエネルギーや注意力をそいでパフォーマンスを下げてしまう。しかし私たちは、心の中の声を抑制し、ネガティブな結果をポジティブなものに変える力を持っている。発明家のジェームズ・ダイソンは回顧録で、自分がビリオネアになったきっかけである袋のいらない電気掃除機の試作品を5126台製作したと語っている。ダイソンはそれを「失敗」ではなく、目標により近づくことを可能にした5126回の結果だと考えた。コントロールできる唯一のものは自分自身と自分の考え方だ。外部で起きることや他の人がやることは制御できない。あなたのアイデアを批判する人はなおさらだ。しかし、それに対する自分の反応は自分で制御できる。ビジネスのアイデアを持っている人は、他者から多くの批判を受けるだろう。それでも、自分の心の中の声がその批判者に加わらないようにすること。