築23年の一軒家を開放感のある土間付き3LDKにリノベーション。好きな物に囲まれた頑張りすぎない暮らし(千葉県)|みんなの部屋
春の訪れを予感させる、あたたかな日差しが降り注ぐ某日。
豊かな自然と住宅街がシームレスにつながった千葉県の一角に、きららさんとけんけんさんご夫婦の住まいはありました。
お名前(職業):きららさん(会社員)、けんけんさん(会社員)、日々江さん(猫)場所:千葉県広さ:101.43㎡築年数:築23年リノベーション費:約900万円間取り図(編集部作成):1F
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インターホンを鳴らすと、揃って玄関まで迎えに来てくださったおふたり。
柔らかな笑顔につられて視線を移すと、あたたかな光が隅々まで行き届く開放的なお部屋が続いています。
築23年の一軒家をリノベーションしたこちらのお部屋で、好きな物に囲まれた頑張りすぎない暮らしをするおふたりに、今回はお部屋づくりのポイントから暮らしのコツまで伺ってきました。
■目次1. お気に入りの場所–生活の余白として機能する6畳の土間–常に楽しく過ごせるキッチン–銭湯の要素を取り入れた洗面所–毎朝気分を上げてくれる階段2. この家に決めた理由
3. 残念なところ
3. お気に入りのアイテム–イギリスヴィンテージのネストテーブル–陶器市で見つけた歪なお皿–フランスから取り寄せた存在感のあるライト
4. 暮らしのアイデア–好きなものを集める–無理をしないで楽をする
5. これからの暮らし
お気に入りの場所
リノベーションにあたって、おふたりが必ず導入したいと考えていたのが、こちらの土間。玄関とリビングを循環するように繋ぐ空間は日々の暮らしに欠かせない特別な場所となっています。
「休日はここで朝ごはんを食べたり、お茶やコーヒーを飲んで過ごしています。リビングでもできる何気ないことも、場所を変えるだけでまた違った体験になるので面白いなと感じています」(きららさん)
保護猫だった日々江さんを迎えるにあたってDIYした柵。
外と中のグラデーションとなる土間は、一緒に暮らしている日々江さん(猫)のくつろぎスペースになっているほか、お互いの趣味を楽しむ空間にもなっているのだそう。
「この家に住んでからDIYをすることも増えました。棚や柵など大きな物も作るので、作業場としても重宝していますね」(きららさん)
趣味で釣りをしているけんけんさんは「賃貸だと難しかった釣竿の準備も、広い土間でならスムーズにできるので助かっています」と嬉しそうに教えてくださいました。
いまでこそ柔軟な使い方をされている土間ですが、設計段階では「特定のことをやる場所」として役割を持たせようとしていたこともあったのだとか。
そんな意識を変えたのは、けんけんさんの何気無い一言。
「あるとき彼が、『土間は生活の中の余白だよね』と言ったことがあったんです。それを聞いたときに妙に納得をして、それからは明確な役割が決まっていないからこそ、どんな使い方をしてもいいんだなと思えるようになりました」(きららさん)
鮮やかな緑のタイルがパッと目を引くキッチンは「ここにいる時間が長いから、常に楽しくいられるように」ときららさんがこだわり抜いた空間です。
「海外のキッチンに憧れがあったので、イメージに合うパーツが見つかるまで時間をかけて探しました。
全体を緑のタイルにすることは決まっていて、換気扇は約10年お掃除がいらないような機能的な物とも迷ったのですが、ここはデザイン重視にしようと思ってこのタイプを選びました」(きららさん)
大きな窓に面したキッチンには、陽の傾きに合わせて美しい光が入ります。
「リビングもそうですが、キッチンも日当たりが良いんですよ。とくに冬になってからは午後に差し込む光が綺麗で、そこも気に入っているポイントですね」(きららさん)
シャツケース風食器棚の中には大小さまざまなお皿が並びます。キッチンを楽しい場所にする工夫はここにも隠されていました。
「食器が好きで、地元長崎の波佐見焼が多いです。お皿は気分に合わせて入れ替えをしていて、そのときに好きなものが常にあるようにしています。
良いものを長く使うというのも大切ですが、私自身、好みが変わりやすい性格でもあるのでリサクルショップを活用することも多いですね」(きららさん)
キッチンと打って変わって、洗面所は和の雰囲気でまとまっていました。機能的で落ち着く空間として、おふたりには古き良き洗面所が共通のイメージとしてあったといいます。
「ライトや鏡はあえて銭湯にあるような懐かしくて普遍的なものを選びました。カゴを設置したことでより雰囲気が増して、落ち着く空間になったと感じています」(きららさん)
シンプルな蛇口はイメージに合うものをホームセンターで見つけてきたのだそう。
「昔から使われているような古き良きアイテムがあるので、ホームセンターにはよく行きますね。スタイリッシュなデザインも入れつつ、使っていて落ち着くような生活に馴染んだアイテムを取り入れるよう心がけています」(きららさん)
けんけんさんがお気に入りの場所としてあげてくれたのは意外にも階段でした。
「リノベーションしたのは階段までなのですが、ここもお気に入りの場所。白い壁紙に窓から入る光が反射して、より一層明るくなるんです。2階の寝室から降りるとき、毎朝スッキリとした気分になれるのでこだわって良かったなと感じています」(けんけんさん)
この家に決めた理由
こちらのおうちに住み始めるまでは、最寄り駅と同じ沿線にある街で暮らしていたというおふたり。
「家探しをするにあたって、まずは予算と立地で条件を絞りました。電車でのアクセスも良く土地に馴染みもあったので、このエリアはすぐに候補に上がりました」(きららさん)
「4件ほど内見をしたうえで、最終的に決め手となったのは日当たりの良さと開放感。南向きで窓が多いため日中ずっと明るいというのは、内見をしたときからずっと気に入っているポイントです」(けんけんさん)
残念なところ
おうち探しの決め手にもなった窓ですが、住んでいるうちに気になることも出てきたのだとか。
「窓が多くて家の中が明るい反面、壁として使える場所が少なくなってしまったということに住んでから気がつきました。以前の部屋では壁にフォトフレームなどを飾っていたのですが、ここだとなかなか飾る場所が見つからない。窓が多いと見るか、壁が少ないと見るかは難しいところですね」(きららさん)
お気に入りのアイテム
お気に入りのアイテムとして真っ先に見せてくださったのがこちら、イギリスヴィンテージのネストテーブル。艶のある美しい光沢が魅力的なこちらはなんと、100年以上も前に作られた逸品なのだそう。
「デザインや歴史はもちろんですが、使い勝手が本当に良いんです。ソファの横に置いてサイドテーブルとして使ったり、土間でテーブルとして使ったりすることもあります。花瓶を置いても可愛いんですよ。
ぴったりと重なるので、収納時にスペースを取らないのも機能的。個人的に収納したときに連なる猫脚もお気に入りです」(きららさん)
陶器市やリサイクルショップなどで買い集めたお皿はどれもお気に入り。その中でも特に気に入っているのが、けんけんさんが「歪なお皿」と呼んでいるこちらのお皿なのだそう。
「僕はこのお皿が好きですね。陶器市のアウトレットで見つけて、たしか2枚で500円くらいだった気がします。この不完全な凸凹としたところに味を感じるんです」(けんけんさん)
リビングに飾られたこちらのライトは、どこで購入できるのかとInstagramでの問い合わせも多いのだそう。
「じつはこのライト、今だと日本での販売店が見つけられないんです。以前取り扱いしているお店で見かけたときに一目惚れをして、どうしても欲しかったのでGoogle翻訳を駆使してフランスから取り寄せをしました。
ライトとしてだけでなく、インテリアとしてもそこにあるだけで雰囲気を明るくしてくれるので気に入っています」(きららさん)
暮らしのアイデア
お話を伺う中で感じたのが、お部屋の細部にまでお気に入りのアイテムがあるということ。それはおふたりが気を付けていることでもあるのだそうです。
「好きなものを集めるというのは意識しています。毎日帰って来る場所なので、常にそのときの好きなものがある状態にしていますね」(けんけんさん)
「頑張りすぎないで自分たちが楽できるようにしようというのも気を付けていることのひとつ。例えば、食洗機やロボット掃除機など、任せられるものは家電に任せてしまっています。
使うアイテムや暮らし方も同じで、自分たちが背伸びをしないで続けられるものを取り入れるようにしています」(きららさん)
「基準を高く設定しているとどうしても疲れが出てしまうもの。逆に身の丈にあったものにしていれば、小さなことでも達成できた! と感じるので気持ちよく暮らすことができると思うんです」(けんけんさん)
「無理をしないようにしよう。できる人がやろう。は合言葉のようになっていますね」と語るおふたりは、どこまでも等身大でとても魅力的でした。
これからの暮らし
これからの暮らしについて、おふたりは「やりたいことがたくさんある」と語ります。
「1階と違って、2階はまだまだ手付かずの状態なんです。好きなものを詰め込んだ趣味部屋はひとまず壁の一面だけ塗ってみたところで、早く他の壁も塗りたいなと思っています。フローリングシートを敷いたり、狭く感じる場所は扉を外してみたりと、アイデアはたくさんあるので時間をかけてやっていきたいです」(けんけんさん)
「この家に住みはじめてから、やってみたいと思うことが増えた気がしています。完全じゃないところを楽しみながら少しずつ手を加えていきたいですね」(きららさん)
取材中も常に笑顔で前向きなお話をしてくださったきららさんとけんけんさん。1年後、2年後と、また何度でもお話を伺いにいきたい素敵な暮らしをするおふたりでした。
Photographed by Kenta Shibayama
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